優しくしないで、好きって言って


 頭が良くて、いっつも1番で。

 それが当たり前のように感じてしまっていたけど……実際は、そうじゃなかったんだ。

 お医者様になるためにきっと、小さい頃から見えない努力をいくつも重ねてきたんだろうな。


「やっぱり……病院の跡継がなきゃなの?」

「……いや、これは俺の意志。むしろ親父には反対されてる」

「反対?」


 意外だった。

 一人息子には、跡継ぎになってくれと頼むのが普通と思い込んでいたから。


「〝お前は医者にならないほうがいい〟だって」

「そんな……」

「まあ、何を言われても諦めないけど」


 ……瑛大。

 ニコッと目を細めるその姿は、その時柔らかな光に包まれているように見えた。