「ごめんな? 親父、堅物で困っただろ」 「……ううん。イメージ通り、真面目そうで立派なお父様なんだなって思っただけ」 「そう……て、なにきょろきょろしてんの」 「へっ。気のせいじゃない?」 落ち着け私。 以前の記憶よりも落ち着いた雰囲気に変わっているけれど、瑛大の部屋には前に何度か入ったことがある。 そう、初めてじゃないんだから。 「そういやそれ、つけてくれたんだ」 自分を奮い立たせていると、ストンと私の前に座った瑛大がニッと口角を上げながらそう言った。 「あ……うん」