「そりゃどうも。七瀬に褒められるなんて光栄だな」
「まあ、私だってたまには褒めたりするわよ」
うっ……また口が勝手に可愛げのないことを!
『好きならもっとアプローチしなきゃ! それで逆に好きになってもらうのよ!』
せっかくだし、つい数時間前に実玖留に言われたそれを実践してみてもいいかもと思ったんだけどなあ。
やられっぱなしじゃ悔しい、っていうのもあるし。
でもやっぱり私にはどうも難しいみたい。
これじゃあきっと、なんのアプローチにもなってないもの。
「ん? 緊張してる?」
「っ、全然?」
「そ。だったらいいけど、あんま気張んなくていいから」
「うん……」
……これは、慣れないことはするなってことかしら。



