優しくしないで、好きって言って


 ドーン! と前のめりになった私に示されたそれ。

 そこには、


『俺も楽しかったぜ。織山とはいい友達になれそうだな!』


 そんな文字が書かれてあった。


「これってもしかして、遠回しに振られてるのかなぁ?」


 セミロングの黒髪を振り乱しながら、うるうると涙目で訴えてくる実玖留。

 そんな彼女に、私は思わず〝はは〟と苦笑いを浮かべる。


〝いい友達になれそう〟だなんて、なんというストレートパンチ。

 だけど、


「たぶん、実玖留の好意に気づいてないだけだと思うよ」


 瑛大曰く、篠原くんは超がつくほどの鈍感天然男。

 だから、女の子が想いを伝える前に心折れてしまうことも、しばしばあるらしい。


 そんな情報を付け足して言うと、実玖留は少し納得した様子で小さく息を吐いた。