「いただきます」


 パチンと手を合わせ、お弁当箱の蓋を開ける。

 ガヤガヤと教室に賑やかな声が響くそんな今は、4時間目を終えたばかりのお昼休みだ。


「ねぇ七瀬、今回のテスト範囲長くない?」


 ぱくっ。

 竜胆お手製ハンバーグを一口口に運んだところで、実玖留が「どうしよう〜」と眉を垂らしてこっちを見た。

 そんな彼女を前に、私は深く頷く。


「たしかにね」


 朝、HRで先生から中間テスト2週間前の連絡があって。

 その時配られたプリントを目に、普段優秀な柚葉の生徒たちがどよめいていたくらいだもの。


「でも、難しいほど燃えるじゃない」


 そう言って今度は卵焼きを放り込むと、目の前の瞳がキラキラと輝きを帯びたものに変わった。