優しくしないで、好きって言って


吾妻(あずま)、今日部活休みなんだ」

「うん休み。でもびっくりしちゃった! 綾城くんとこんなところで会うなんてね」

「俺も」


 ──誰?


 笑っている瑛大と、ボブカットの知らない女の子。

 目に飛び込んできたその光景に、私は目を見開いて足を止めていた。


「今、千尋(ちひろ)ちゃんと(さく)ちゃん待ってたところなの」

「へぇ、あの二人も来てんだ」


 花みたいな優しい声に、表情。そして、ほんのりと桜色に色付いた頬。


 瞬間にしてわかった。

 きっとこの子は、瑛大のことが……。


「綾城くんは誰と? もしよかったら一緒に……」

「悪い、幼なじみとその友達もいるから」


 ……っ。

 瞬間、胸の奥で何かが湧き上がった。