「好きじゃないとかなんとか言ってたくせにぃ。七瀬、綾城くんと結構いい感じじゃない」
「……別に? そういう実玖留だって、篠原くんといい感じに見えたけど?」
「えーそう?」
反撃してやると、今度は愛らしく身を捩らせた彼女。
「だったら嬉しいな……」
本当に嬉しそうに、だけどちょっぴり照れくさそうに。
優しく目を細めてそう言う姿を見て、素直に可愛いなと思った。
──恋する女の子って、すっごく可愛い。
それから少しメイク直しをして、私と実玖留は化粧室を出た。
近くで待ってくれていた瑛大たちと合流し、あと20分ほどで始まるというイルカショーへ向かう。
結構ずぶ濡れになるって話だけど、大丈夫かしら?
なんてふとカバンの中を覗き込んだ直後、「あ!」と叫ぶように声をあげてしまった。



