優しくしないで、好きって言って


 今までだって緊張はしていたけれど、比べ物にならない。

 好きだと気づいてからは、また別の羞恥心に似た感情が、この胸を埋めつくしている。

 目を合わせるのも、ただ会話するのでさえも、ドキドキしてしまうくらいの感情。


 さっきまでは実玖留と篠原くんが近くにいて、なんとか落ち着いていたんだけどな。

 今はただ、溢れ出すそれを隠すことに必死だ。



「あ!」


 と、その時声を出した私は、急いで鞄からスマートフォンを取りだした。

 色々とごまかしたいからというのもあったけど、それだけが理由じゃない。