優しくしないで、好きって言って


「……だってさ? 瑛大くんったらモテモテね〜」


 私はニヤニヤと目を細くして、からかうように瑛大の腕をつつく。

 さっき人の心を弄んできたお返しだ。

 すると。


「そーなんだよ! さっきからこいつ、何回女の子に声掛けられたと思う?」


 突如割り込んできた篠原くんが、そんな質問を繰り出した。


「10回だぜ、10回。モテる男はすげぇよな」

「……俺ばっかじゃないだろ」


 キラキラと目を輝かす篠原くんに、瑛大が珍しく眉を歪ませる。


「てか二人とも聞いてくれよ。瑛大のやつ、転校早々すごくてさ。あっという間に女子に囲まれちゃったの」


 二藍学園は共学だ。クラスメイトに女の子がいることはわかってたけど……。

 ふーん。やっぱりそうなのね。

 チラリと目だけを動かして横顔を盗み見ると、その人は深くため息をついた。