優しくしないで、好きって言って


「別に、出会いがないだけよ」


 私はそんな彼女から視線を逸らすなり、呟くようにそう言った。

 するとその直後、ガシッと肩を掴まれて。


「だから、これがチャンスなの! こんなステキな機会なかなかないんだから」



 相手の男の子たちはみんな、二藍(ふたあい)学園の2年生らしい。

 その二藍学園が超エリート校だってことは、この辺りじゃ言わずと知れた事実だったりする。


「それに、聞いたんたからね? 出会いがないとかなんとか言うけど、この前カフェの店員さんに告白されて断ったんでしょう?」

「……それは、その人のことよく知らないし?」

「もー、またそんなこと言って!」


 細くなった双眸(そうぼう)に、つり上がった眉。

 ……なによ。そんな睨まなくてもいいじゃんか。