優しくしないで、好きって言って


 あの日、自分の好きな人を思い浮かべた時、迷わず頭の中に浮かんだのは他の誰でもない、瑛大だった。

 ちょっと前までは、昔好きだった人……それ以上の感情は正直自分でも謎で、どちらかというと懐疑心を向けていたはずが……ね。


 やっとまた会えた。

 そう思ったあの日から何度考えても、何日経っても、この感情を否定することはできなかった。


 やっぱり私は瑛大が好き。

 そう、再確認させられるだけだった。


 ……我ながら、ちょろいやつね。


『なら、俺のこと好きにさせればいいってことね』


 すぐその通りになってしまうなんて。

 でもそりゃそうだ。あんなにも、想っていたんだもの。

 8年の空白に心が戸惑っていただけで、本当は最初からずっと、私はあなたに恋をしていたんだ。