優しくしないで、好きって言って


「ねぇねぇ、あの二人かっこよくな〜い?」

「わ、ほんとだー。私、黒髪の方タイプかも〜」

「えー、どっちもいいけど私は短髪の方かなー」


 水族館の入口を目指し歩いていた最中、きゃあきゃあと聞こえてきた声に私は自然と実玖留と目を見合せていた。

 もしや……。


「あ、織山! 新条!」


 やっぱり!


 声の方を向くと、こっちに気づいたらしいパーカーの彼、篠原くんが手を挙げて私たちにアピールしている。

 そしてその隣には、瑛大がちゃんといて。


 白のハイネックに、黒の薄手のロングコートと、同じく黒のパンツ。

 ……なかなかいい感じじゃない。


「おまたせ」

「七瀬、久しぶり」


 目が合ってすぐ、向けられた柔らかな笑みにドキッとした。