優しくしないで、好きって言って


 ──今朝、登校してすぐのことだった。


『七瀬今日暇? 放課後2-Aのみんなで女子会しようって言ってるんだけど、行かない?』


 てな具合に誘われた私は、もちろん即OK。

 有名華道家の娘である彼女──織山(おりやま)実玖留(みくる)とは1年の頃からの付き合いで、一番の親友なんだもの。


 それが実際来てみれば、なに?


 小綺麗なカフェの隅のテーブルにズラッと並ぶ顔見知りの女子たち。その真向かいに並ぶ、見知らぬ男の子たち。

 どう見たってこれ、合コンじゃない。


 実玖留ったら、(だま)したのね? なんてジトッとした目で見つめていると、


「だって七瀬、全然彼氏作らないんだもん!」


 開き直ったのか、実玖留がムッとした顔で返してきた。

 さっきまでのあのしおらしい態度は、一体なんだったのか。