不器用なアイツと本音を言えないわたし


 あいつはいつも、となりの席からわたしの筆箱に手を伸ばす。
 えんぴつ、消しゴム、定規、タブレットのタッチペン……まるで自分の筆箱みたいに、いつも勝手に使われてた。
 その中でもラインマーカーはわたしが使おうとすると、いつも先に使われちゃって、持ち主のわたしよりたくさんあいつが使ってた。

 「ちょっと、勝手につかわないでよ」

 「……かりるぞ、って毎回いってるじゃん。いいから貸せよ」

 わたしがいいよ、っていう前に使ってるじゃん……
 わたしの親友、結菜(ユナ)ことゆっちゃんが、
結「あいつさ、花音(カノン)のやつしか、借りないよね。ほかの子が隣の時は自分の使ってるよ」

花「わたしだったら何してもいいって思ってんじゃない?! いっつも超、暴君だし。ほんと隣になると、毎回ユーウツなんだけど。」