すう、と息を吸って、はーっと大きく息を吐く。
今から呼び出した好きな人に告白する。
相手はクラス一のイケメンである、早瀬奏多くん。
早瀬くんは人見知りで誰に対しても冷たく、そしてクール。
女の子だけじゃなく男の子でさえ話しているところを滅多に見ない彼。
だけど私は知っている。
彼が周りをよく見ていてとても優しいっていうこと。
ただ人見知りで話せないだけって言うこと。
ガラッ、と私は勢いよく扉を開けた。
「早瀬くん!」
「っ……遥さんっ」
「私が呼んだのに遅れてごめんね」
「いや、遥さんは全く悪くない……から」
「……」
「……」
早瀬くんは人見知りで、誰かと対話するのが苦手。
それを知ったのは、ひょんなことから。
体育の後、私は暑さでへとへとになっていた。
軽い熱中症になっていた私を偶然見つけた早瀬くんが、私に近寄ってきて話しかけたんだ。
『大丈夫……ですか』
『えっ、あ……うん……』
返事をした瞬間、なぜか体から力が抜けて早瀬くんの方へ倒れ込んでしまった。
はっとして私はすぐに離れたけど、早瀬くんの顔はすぐに変わった。
『っ……あっ……ぅ』
顔がどんどん赤くなっていって、そしてついには両手で顔を抑えてしゃがみこんでしまった。
いつもの近寄り難い雰囲気からは想像出来ない姿に驚いて、次は私が早瀬くんを心配し始めた。
だけどすぐに私の言葉を遮って、そして黙り込む。
何か悪いことしたかなぁ、と思っていると、彼は小さく呟いた。
『人と話すの……苦手なんだ。女の子と触れるのなんて初めてだし……、ごめん』
かーっと赤く染まった顔を見て、なぜかわたしはドキドキしてしまった。
あんなにクールで何も話さない彼が、私なんかのことを心配してくれて、しかも私の前で真っ赤になってうずくまっている。
その姿が意外すぎてつい微笑みが溢れる。
『ふふ、早瀬くんって照れたりするんだ。なんか秘密を知っちゃった気がする』
『……絶対誰にも言わないで。こんなに間抜けな感じだってこと』
『当たり前だよ。二人だけの秘密ね』
二人だけの秘密が出来たって考えると、少しだけ、少しだけ嬉しくてふふっと笑ったんだ。
その時、早瀬くんは一瞬目を見開いて、そして口角を少しだけ上げて微笑んでくれた。
その姿にきゅん、として私は一瞬で恋に落ちた。
イケメンだって言うこともあるけど、それよりもその意外な姿とギャップに惚れてしまった。
そしてそこから二ヶ月、たまに話しかけると一言だけ返してくれる時が増えてきた。
少しずつ近づけている気がして嬉しくて、私はついに今日、告白する。
「あの、早瀬くん」
「うん」
「好きな人……いる?」
「えっ……え?好きな人……」
「うん」
明らかに動揺して目を泳がせる。
そっか……好きな人、いるんだ。
やっぱり私、これから振られるんだ。
でも少しでも可能性があるなら……。
「早瀬くん」
「はい」
「……す、きです」
あ、やばい。
緊張で声が途切れて……。
聞こえた?聞こえたかな……?
どうしよう、こんなに下手くそな告白したくなかったのに。
「え……好き?遥さんが俺を……?」
「うん。かっこよくて少し人見知りで、それでも私と話してくれてみんなを見てくれてる。優しくて気遣いができる早瀬くんが好きなの」
結果は目に見えてる。
でも君にこうして伝えられただけでいいや。
振られてしまうという怖さから私の目から涙がこぼれおちた。
だけど早瀬くんには迷惑をかけたくない。心配させたくない。
そう思って私は泣きながら早瀬くんに笑顔を向けた。
「早瀬くん、返事をください」
早瀬くんは目を見開いた後、ゆっくりと口を開いた。
ああ、これで私たちの関係は終わりかもしれない。
そう思いながら私は目を瞑って、そして口元だけ微笑んで返事を待った。
今から呼び出した好きな人に告白する。
相手はクラス一のイケメンである、早瀬奏多くん。
早瀬くんは人見知りで誰に対しても冷たく、そしてクール。
女の子だけじゃなく男の子でさえ話しているところを滅多に見ない彼。
だけど私は知っている。
彼が周りをよく見ていてとても優しいっていうこと。
ただ人見知りで話せないだけって言うこと。
ガラッ、と私は勢いよく扉を開けた。
「早瀬くん!」
「っ……遥さんっ」
「私が呼んだのに遅れてごめんね」
「いや、遥さんは全く悪くない……から」
「……」
「……」
早瀬くんは人見知りで、誰かと対話するのが苦手。
それを知ったのは、ひょんなことから。
体育の後、私は暑さでへとへとになっていた。
軽い熱中症になっていた私を偶然見つけた早瀬くんが、私に近寄ってきて話しかけたんだ。
『大丈夫……ですか』
『えっ、あ……うん……』
返事をした瞬間、なぜか体から力が抜けて早瀬くんの方へ倒れ込んでしまった。
はっとして私はすぐに離れたけど、早瀬くんの顔はすぐに変わった。
『っ……あっ……ぅ』
顔がどんどん赤くなっていって、そしてついには両手で顔を抑えてしゃがみこんでしまった。
いつもの近寄り難い雰囲気からは想像出来ない姿に驚いて、次は私が早瀬くんを心配し始めた。
だけどすぐに私の言葉を遮って、そして黙り込む。
何か悪いことしたかなぁ、と思っていると、彼は小さく呟いた。
『人と話すの……苦手なんだ。女の子と触れるのなんて初めてだし……、ごめん』
かーっと赤く染まった顔を見て、なぜかわたしはドキドキしてしまった。
あんなにクールで何も話さない彼が、私なんかのことを心配してくれて、しかも私の前で真っ赤になってうずくまっている。
その姿が意外すぎてつい微笑みが溢れる。
『ふふ、早瀬くんって照れたりするんだ。なんか秘密を知っちゃった気がする』
『……絶対誰にも言わないで。こんなに間抜けな感じだってこと』
『当たり前だよ。二人だけの秘密ね』
二人だけの秘密が出来たって考えると、少しだけ、少しだけ嬉しくてふふっと笑ったんだ。
その時、早瀬くんは一瞬目を見開いて、そして口角を少しだけ上げて微笑んでくれた。
その姿にきゅん、として私は一瞬で恋に落ちた。
イケメンだって言うこともあるけど、それよりもその意外な姿とギャップに惚れてしまった。
そしてそこから二ヶ月、たまに話しかけると一言だけ返してくれる時が増えてきた。
少しずつ近づけている気がして嬉しくて、私はついに今日、告白する。
「あの、早瀬くん」
「うん」
「好きな人……いる?」
「えっ……え?好きな人……」
「うん」
明らかに動揺して目を泳がせる。
そっか……好きな人、いるんだ。
やっぱり私、これから振られるんだ。
でも少しでも可能性があるなら……。
「早瀬くん」
「はい」
「……す、きです」
あ、やばい。
緊張で声が途切れて……。
聞こえた?聞こえたかな……?
どうしよう、こんなに下手くそな告白したくなかったのに。
「え……好き?遥さんが俺を……?」
「うん。かっこよくて少し人見知りで、それでも私と話してくれてみんなを見てくれてる。優しくて気遣いができる早瀬くんが好きなの」
結果は目に見えてる。
でも君にこうして伝えられただけでいいや。
振られてしまうという怖さから私の目から涙がこぼれおちた。
だけど早瀬くんには迷惑をかけたくない。心配させたくない。
そう思って私は泣きながら早瀬くんに笑顔を向けた。
「早瀬くん、返事をください」
早瀬くんは目を見開いた後、ゆっくりと口を開いた。
ああ、これで私たちの関係は終わりかもしれない。
そう思いながら私は目を瞑って、そして口元だけ微笑んで返事を待った。

