王子様のないしょ話 ~僕は初恋の彼女を溺愛する~

「よかったあ!!」

喜びのあまり、僕は弾むように立ち上がり、妻を抱き上げてクルクルと回った。

「やだ、おろして。怖いわ!」

そういう妻は、怖がるというより、楽しそうに笑っている。

 ああ、やっぱり君は可愛い。

 抱き上げたまま、軽くチュッと音を立ててキスをした。
 妻はくすぐったそうに笑いながら、僕の首に両腕を回す。

 ……はい、我慢(がまん)出来なくなりました。

「誰も、見ていなければいいんだよね?」

「え?」

「ここにはもう、誰もいないよ」

「……え」

「ここは僕たちの寝室だし」

「……」

「そして、僕たちは、もう夫婦だ」

 顔を赤らめ、いやいやをするように首を振るけれど、そんな仕草さえ、僕には扇情的(せんじょうてき)に映るんだ。

 僕の愛らしくて、賢くて、勇気があって、寛容な、素晴らしい妻よ。

 というわけで皆様、これから先は案内人を辞して、失礼させていただきます。
 僕の妻が恥ずかしがるのでね。

 そして優しく妻を寝台に降ろし、そっと天蓋を閉じた。


 【Fin】