「京都までどんくらい?」
「一時間くらいかなぁ。っていうか、京都はいいんだけどさ、家までっていうと面倒くさいんだよ」
「あぁ、なるほど」
「ま、遼ほどじゃないけどね。だって東京駅から……四十分くらい?」
「あぁ。特快が止まんねぇ……」
「ていうか、なんでそこまでしてこっち来てんの? 今更だけど。学祭なんてわざわざ来るほど?」
「お前感じ悪いな! 一応お前に会いにも来てんだからんなこと言うなよ!」
「はいはい、どーも。三カ月前に会ったし、来月末にも会うでしょ」
「だから感じ悪いな」
それなりに頻繁に会っているというのに、くだらない中身のない話題は尽きることなく、それでもそうゆっくりと食事をする場所ではなかったから、適当なタイミングで話は切り上げる羽目になってしまった。
外に出ると、居酒屋やドラッグストアの明かりが道を照らしていた。昼間も見た景色だけれど、空から太陽が消えるとまた違って見えた。
ついでに気温もぐっと下がったのを感じる。トレンチコートを羽織りながら震えた。
「今年寒くなるの早くない? 毎年こんなんだっけ」
「いやー、早いほうじゃね? 去年の今頃はオレンジジュース飲んでたし」
「知らないよ、そんなお前の匙加減なんか」
もっと客観的な情報をくれよ、気温とかさ、とぼやいた後で、それこそ体感温度と一致するとも限らないと気付いて口を噤んだ。でも親友はそんなツッコミどころに気付くこともなく、気象庁のホームページでも見ればわかるんじゃね、とすっとぼけた回答をする。
別に、厳密に去年との違いを知りたがったわけじゃない。ただの他愛ない世間話にすら満たない呟きだ。ただ、思いがけず、季節を忘れてしまったのが自分だけではないと知った。



