膝の上に乗せている箱が、私たちが高校の頃から人気のドーナツ屋のものだとすでに気づいていた。当時私が、『ここのドーナツが一番好き』と絢に話したのも覚えている。
彼女も覚えていたなんて意外だけれど、その懐かしいチョイスがなんだか嬉しくて口元が緩んだ。
図星を指された絢は、顔を赤くしたままそろそろとドーナツの箱をテーブルの上に置き、私に差し出して口を開く。
「……この間は、ごめんなさい。秋華を悪者にしようとして」
しっかり謝罪の言葉が聞こえてきて、心に残っていたもやが綺麗に消えていく。ただ、簡単に許したくない気持ちもあり、ちょっと意地悪に返してみる。
「あのせいで、皆の視線がめちゃくちゃ痛かったんだけど」
「うっ……た、たぶん私、なにか悪いものに憑りつかれてたんじゃないかって思うの! そうじゃなきゃあんな馬鹿なことしないし、どうかしてたのよ!」
「言い訳がすぎる」
表情を無にして一刀両断すると、絢は身を縮めてもう一度「ごめん」とぼそっと謝った。決まりが悪そうにしながら、やっと本音を語り始める。
「秋華が私の欲しかったもの全部持ってるから、負けたような気持ちになってた。それで意地になって、みっともないことを……。人って、手に入らないと執着してしまうものなのかもね」
彼女も覚えていたなんて意外だけれど、その懐かしいチョイスがなんだか嬉しくて口元が緩んだ。
図星を指された絢は、顔を赤くしたままそろそろとドーナツの箱をテーブルの上に置き、私に差し出して口を開く。
「……この間は、ごめんなさい。秋華を悪者にしようとして」
しっかり謝罪の言葉が聞こえてきて、心に残っていたもやが綺麗に消えていく。ただ、簡単に許したくない気持ちもあり、ちょっと意地悪に返してみる。
「あのせいで、皆の視線がめちゃくちゃ痛かったんだけど」
「うっ……た、たぶん私、なにか悪いものに憑りつかれてたんじゃないかって思うの! そうじゃなきゃあんな馬鹿なことしないし、どうかしてたのよ!」
「言い訳がすぎる」
表情を無にして一刀両断すると、絢は身を縮めてもう一度「ごめん」とぼそっと謝った。決まりが悪そうにしながら、やっと本音を語り始める。
「秋華が私の欲しかったもの全部持ってるから、負けたような気持ちになってた。それで意地になって、みっともないことを……。人って、手に入らないと執着してしまうものなのかもね」



