冷酷社長な旦那様が「君のためなら死ねる」と言い出しました~ヤンデレ御曹司の激重愛~

 秋華とは一度も目が合わないままだったが、目標ができたおかげで温かなものを感じていた。彼女も同じ感覚を抱いていたらいいなと願う。

 その日から、俺は営業の仕事にも一心に取り組もうと気持ちを改めた。そうしていく中で、自分も彼女の力になれるかもしれないと気がついた。

 秋華は脚の動脈が炎症を起こし、閉塞しそうになってしまっているのを薬でなんとか抑えている状態だと言っていた。治療法は限られていて、狭くなった血管の代わりに他の血管を移植して流れをよくするバイパス手術を行うしかない。

 彼女の場合は自分の血管が使えず、手術が困難になっていた。このままでは完全に血が通わなくなって足が壊死してしまうかもしれない。

 その話を聞いて思い浮かんだのは、当時シェーレで臨床試験中だった最新の人工血管を使うという方法だ。

 俺たちが開発していたのは、耐久性に優れ、狭窄や閉塞が起きづらく感染もしにくい、夢のような人工血管。様々な疾患に対して使われていて、これまでの試験はどれも成功しているし、費用の面でも負担は少ないだろう。

 彼女も治療の道が開けるのではないだろうか。営業部長である俺にできることは、病院側にこれを提案することだ。