彼女は膝の上に置いた手をぐっと握り、「そうです」とやっとはっきり認めた。
「父が入院して、本当に心配したんです。でも、ここで秋華に会って……憎い気持ちを抑えられなくなってしまいました。本当に申し訳ありません……!」
泣きそうな声で謝り、深く頭を下げる彼女の肩が震えている。
秋華を悪者に仕立て上げようとしたことは許せないが、おそらく本気で反省しているだろう。秋華にもご両親にも、心から謝罪してもらいたい。
「あなたが謝るべき人間は、他にもたくさんいます。誠心誠意向き合って、悔い改めてください。処分は追って伝えます」
会社の業務にも影響を与えたため、相応の罰は受けてもらわなければならない。絢さんもそれは覚悟していただろう。情けをかけずに告げた俺を涙目でまっすぐ見上げ、「はい」と頷いた。
なんとか一段落して息を吐き出す。謝罪するところを見届けたいが、秋華はまだ仕事があるだろうし、俺も報告するため会社に戻らなければ。
絢さんを置いて去ろうとするも、ひと言伝えておこうと思い立ち、足を止めてうなだれたままの彼女を振り返る。
「自分自身と愛する人、どちらも幸せにするのは意外と難しい。恨みを晴らそうと躍起になるより、お互い幸せになる方法を考えたほうがずっといいですよ」
少しだけ声色を柔らかくして伝えると、彼女は目を見開く。その瞳から溜まっていた涙がこぼれ落ちると共に、「ありがとうございます」と小さく呟いた。
「父が入院して、本当に心配したんです。でも、ここで秋華に会って……憎い気持ちを抑えられなくなってしまいました。本当に申し訳ありません……!」
泣きそうな声で謝り、深く頭を下げる彼女の肩が震えている。
秋華を悪者に仕立て上げようとしたことは許せないが、おそらく本気で反省しているだろう。秋華にもご両親にも、心から謝罪してもらいたい。
「あなたが謝るべき人間は、他にもたくさんいます。誠心誠意向き合って、悔い改めてください。処分は追って伝えます」
会社の業務にも影響を与えたため、相応の罰は受けてもらわなければならない。絢さんもそれは覚悟していただろう。情けをかけずに告げた俺を涙目でまっすぐ見上げ、「はい」と頷いた。
なんとか一段落して息を吐き出す。謝罪するところを見届けたいが、秋華はまだ仕事があるだろうし、俺も報告するため会社に戻らなければ。
絢さんを置いて去ろうとするも、ひと言伝えておこうと思い立ち、足を止めてうなだれたままの彼女を振り返る。
「自分自身と愛する人、どちらも幸せにするのは意外と難しい。恨みを晴らそうと躍起になるより、お互い幸せになる方法を考えたほうがずっといいですよ」
少しだけ声色を柔らかくして伝えると、彼女は目を見開く。その瞳から溜まっていた涙がこぼれ落ちると共に、「ありがとうございます」と小さく呟いた。



