俺のシャツを掴む彼女を凍てつく瞳で見下ろし、同じく冷えきった声を投げかける。
「その気持ちは本当ですか?」
「え……?」
「機器の不具合を調べましたが、特に異常はありませんでした。他に考えられるのは、食べ物からカリウムを大量に摂取したということです。先ほど白鳥さんの自宅へ伺って奥様からお聞きしましたが、臨床試験中、彼の部屋のゴミ箱にバナナの皮がいくつか入っていたそうです」
淡々と話すと絢さんの手がぱっと離れ、その表情からは動揺が見て取れる。
「白鳥さんは軽い認知症を患っていますよね。おそらくそのせいで、ご家族も気づかないうちに食べてしまったのではないでしょうか。奥様は管理が甘かったと反省してらっしゃいました」
白鳥さんの気になる点というのは、この認知症だ。もしかしてと思い聞いてみたら、奥さんがとても申し訳なさそうに打ち明けてくれた。
「あなたも当然そのことは知っていたはずです。しかしそれを逆手に取って、ご家族も言いくるめて機器のせいにしたのではありませんか? そうすれば、私が必然的に絢さんを気にかけることになりますからね」
今みたいに彼女が俺に泣きついても自然だし、同情させて懐に入り込む隙を作ろうとしたのだろう。ほぼ確信を持って言ったものの、絢さんは焦った様子でぶんぶんと首を横に振る。
「その気持ちは本当ですか?」
「え……?」
「機器の不具合を調べましたが、特に異常はありませんでした。他に考えられるのは、食べ物からカリウムを大量に摂取したということです。先ほど白鳥さんの自宅へ伺って奥様からお聞きしましたが、臨床試験中、彼の部屋のゴミ箱にバナナの皮がいくつか入っていたそうです」
淡々と話すと絢さんの手がぱっと離れ、その表情からは動揺が見て取れる。
「白鳥さんは軽い認知症を患っていますよね。おそらくそのせいで、ご家族も気づかないうちに食べてしまったのではないでしょうか。奥様は管理が甘かったと反省してらっしゃいました」
白鳥さんの気になる点というのは、この認知症だ。もしかしてと思い聞いてみたら、奥さんがとても申し訳なさそうに打ち明けてくれた。
「あなたも当然そのことは知っていたはずです。しかしそれを逆手に取って、ご家族も言いくるめて機器のせいにしたのではありませんか? そうすれば、私が必然的に絢さんを気にかけることになりますからね」
今みたいに彼女が俺に泣きついても自然だし、同情させて懐に入り込む隙を作ろうとしたのだろう。ほぼ確信を持って言ったものの、絢さんは焦った様子でぶんぶんと首を横に振る。



