冷酷社長な旦那様が「君のためなら死ねる」と言い出しました~ヤンデレ御曹司の激重愛~

「なっ……んにもありませんよ」
「図星だ」

 平静に答えてやり過ごそうと思ったのに、あっさり見抜かれて肩を落とした。

「わかりやすいねぇ」とクスクス笑う彼は、いたずらっぽく口角を上げて意味ありげな視線を寄越す。

「話してごらん。きっとこの間の俺のせいでしょ。だったら俺が責任取らないと」
「大丈夫です。自分たちのことは自分たちでなんとかしますから」

 今気まずくなっているのは蘭先生のせいではないし、夫婦の問題で頼ろうとも思っていない。彼に頼るのは病気に関することだけだ。

「それに私、息が詰まるなんてことはありません。確かに桐人さんは人一倍執着心が強いですけど、私はそんな彼も好きなんです」

 ちょっぴり困る時もあるけれど、それ以上に彼の愛を感じられるのは嬉しいから。

 にこりと微笑むと、先生はおもむろに足を止めた。冬の間だけ点灯している庭園のイルミネーションが、意外だと言いたげな彼の顔を照らす。

「……へえ、秋華ちゃんもそこまで彼にハマってるとは。それは振り向かせたくなるな」
「え」

 聞き捨てならないひと言に、私は思わず固まった。蘭先生は私と向き合い、意味深に口角を上げる。