冷酷社長な旦那様が「君のためなら死ねる」と言い出しました~ヤンデレ御曹司の激重愛~

 女性の黄色い声がかすかに聞こえる中、すぐに近くのベンチに下ろしてもらえた。桐人さんは私の前に跪き、「脱がすよ」と声をかけてショートブーツを履いた足を優しく持ち上げる。

 またしても王子様の構図で、なんだかエロく感じる言葉を口にするものだから、私の脳内には十八禁の妄想が広がる。が、彼はいたって真剣に靴下も脱がせた私の足首を観察する。

「少し腫れてるな。骨や靭帯に異常がないか診てもらったほうがいい。今から白藍へ行こう」
「はい……って今から!?」

 後日の話かと思いきや、すぐに行く気らしいので私は戸惑った。

 白藍というのは県外にも名の知れた総合病院で、優秀な医師が多いと有名だ。かく言う私も、血管炎で入院していた頃からお世話になっているし、対応のよさは重々わかっているけれど……。

「夜間救急にかかるほど酷くはないですから! 湿布貼っておけば大丈夫です、たぶん」
「捻挫でも軽く見てはいけない。痛みが長引いたら支障が出るだろう」

 慌てて制したものの、厳しさが滲む目を向けられて黙り込んだ。捻挫は骨折よりも厄介だというのはよく聞くし、ジンジンしているので放っておく気はないけれど、緊急性はないと思う。