「これまで桐人さんがしてくれたこと全部、嬉しかったし大事なものなんです。だから、身勝手なんかじゃないですよ。これからもふたりでたくさん思い出を作っていきましょうね」
にこりと微笑みかけ、晴れやかな気分で追加のビールを頼んだ。
直後、カウンターの上で手を重ねられ、ぱっと振り向くと彼の情熱的な瞳に捉えられる。
「……やっぱり君はなにより愛おしくて、触れたくてたまらない。もっと、奥のほうまで」
私にだけ聞こえるように囁かれた低く艶のある声に、心臓が大きく脈打った。
今の自分なら、彼の愛も欲情も受け止められる気がする。だって、私の気持ちも同じところにあるから。
店内のざわめきがどこか遠く感じるほど、自分の鼓動がうるさい。熱くなる顔を俯かせて「……私も」と答えると、重なった手にさらに指が絡められ、おそろいの結婚指輪がきらりと輝いた。
それからしばらく焼き鳥の味がわからなくなったものの、適度にお酒が進むと徐々に緊張は解れていった。午後八時になる前にお店を出て、タクシーに乗るために大通りへ向かう。
それほど酔っているわけでもないのに、ふわふわと地に足がついていない感覚を覚えるのは、今夜への甘くて赤裸々な期待のせいだろう。
にこりと微笑みかけ、晴れやかな気分で追加のビールを頼んだ。
直後、カウンターの上で手を重ねられ、ぱっと振り向くと彼の情熱的な瞳に捉えられる。
「……やっぱり君はなにより愛おしくて、触れたくてたまらない。もっと、奥のほうまで」
私にだけ聞こえるように囁かれた低く艶のある声に、心臓が大きく脈打った。
今の自分なら、彼の愛も欲情も受け止められる気がする。だって、私の気持ちも同じところにあるから。
店内のざわめきがどこか遠く感じるほど、自分の鼓動がうるさい。熱くなる顔を俯かせて「……私も」と答えると、重なった手にさらに指が絡められ、おそろいの結婚指輪がきらりと輝いた。
それからしばらく焼き鳥の味がわからなくなったものの、適度にお酒が進むと徐々に緊張は解れていった。午後八時になる前にお店を出て、タクシーに乗るために大通りへ向かう。
それほど酔っているわけでもないのに、ふわふわと地に足がついていない感覚を覚えるのは、今夜への甘くて赤裸々な期待のせいだろう。



