ぎゅっと目をつぶったそのとき、すぐ横を一陣の風が吹き抜けたような気がした。
と同時に——。
グァッシャーン!!!!
ものすごい音がして、おそるおそる目を開けると、目の前にいた男子が、空き地の奥のフェンスに叩きつけられ、ズルズルと崩れ落ちていく様が目に映った。
「え……お兄、様?」
地面に着地し、しゃがみ込んでいたお兄様がすっと立ち上がると、わたしの方を振り向いた。
仕事帰りなのか、家を出るときに着ていた細いストライプスーツのジャケットを左手に持ち、上半身は白のカッターシャツに緩んだネクタイ、ジャケットとお揃いのパンツに先の尖った革靴を履いている。
「彩智、ケガはない?」
「はい、わたしは大丈夫です」
わたしがそう返事すると、お兄様はニコッと笑ってわたしを安心させるかのようにわたしの頭をポンポンとなでた。
「あとは兄ちゃんに任せとけ」
そして、金沢さんの背後に立っている男子たちの方へと視線を向ける。
「あのさあ。俺、命の保証しないってちゃんと警告したよね? ねえ、ちゃんと話聞いてた? 耳、ついてる? ついてんのに機能してないんなら、もういらないよね、そんなもん。だったら俺が引きちぎってやろうか? そうだ。また悪さできないように、両腕も切り落としとくかあ」
冗談のような内容なのに、本気にしか聞こえない。
と同時に——。
グァッシャーン!!!!
ものすごい音がして、おそるおそる目を開けると、目の前にいた男子が、空き地の奥のフェンスに叩きつけられ、ズルズルと崩れ落ちていく様が目に映った。
「え……お兄、様?」
地面に着地し、しゃがみ込んでいたお兄様がすっと立ち上がると、わたしの方を振り向いた。
仕事帰りなのか、家を出るときに着ていた細いストライプスーツのジャケットを左手に持ち、上半身は白のカッターシャツに緩んだネクタイ、ジャケットとお揃いのパンツに先の尖った革靴を履いている。
「彩智、ケガはない?」
「はい、わたしは大丈夫です」
わたしがそう返事すると、お兄様はニコッと笑ってわたしを安心させるかのようにわたしの頭をポンポンとなでた。
「あとは兄ちゃんに任せとけ」
そして、金沢さんの背後に立っている男子たちの方へと視線を向ける。
「あのさあ。俺、命の保証しないってちゃんと警告したよね? ねえ、ちゃんと話聞いてた? 耳、ついてる? ついてんのに機能してないんなら、もういらないよね、そんなもん。だったら俺が引きちぎってやろうか? そうだ。また悪さできないように、両腕も切り落としとくかあ」
冗談のような内容なのに、本気にしか聞こえない。



