学園最強の兄は妹を溺愛する

「頼むから、こういう軽率な行動は慎んでくれ」

「えっと……ひょっとして、屋上での飲食って禁止でしたか?」

「そうじゃなくてっ。あんたと金髪がここで二人きりなんかでいたら、またアイツが……」

「アイツ……今度はお兄様のことですか?」

「そうだ。そのあんたのお兄様が、金髪ロン毛とあんたが二人きりでいるのを許すわけがないだろうが」

「わたしが金沢さんのお邪魔をしただけですし、金沢さんはなにも悪いことはされていませんよ?」


「ったく。なんなんだよ、この話の通じない兄妹はっ」

 イラついたようにそうつぶやくと、蒼真さんが髪をぐしゃっとかき混ぜる。


「まあいい。もういないなら問題ない。邪魔したな」


 そう言って去っていこうとする蒼真さんの背中に、思わず「あのっ」と声をかける。


「なんだ?」


 どうしよう……。特になにも考えていなかったのだけれど。

 なんとなく一人ぼっちになるのが寂しかったから……なんて言ったら、呆れられてしまうでしょうか……。


「そ、そうだ。お兄様との馴れ初めを教えてください!」

「馴れ初め?」

 そう言って、蒼真さんが眉をひそめる。


「はいっ。どうやってお兄様とお友だちになったのですか?」