***
「う、うーん……」
「彩智、大丈夫か⁉」
「おにい、さま……?」
ゆっくりと瞼を押し開けると、お兄様が今にも泣き出しそうな顔でわたしを見下ろしていた。
「アイツら、コロしとくか? そうだな。彩智の平和な学園生活のためには、それがいい」
ブツブツと口の中で物騒なことをつぶやきながら、折りたたみイスを倒しそうな勢いでお兄様が立ち上がる。
「だ、ダメです、お兄様。お願いだから、乱暴なことはしないで」
お兄様の制服の裾をぎゅっと握って引き止める。
「そう……だな。すまない、彩智」
もう一度お兄様がイスに座り直すと、わたしはホッと胸をなでおろした。
「……やはり彩智をこの学園に呼んだのは間違いだったか」
そうつぶやくと、お兄様は手のひらに爪が食い込むほどぎゅっと拳を握り締め、苦しげに顔を歪めた。
「ごめん……彩智」
そんな顔をしないで。
これ以上ご自分を責めないで。
だって、弱いわたしが悪いのだから。
今まで、男性に触られると怖い思いをしたときのことがフラッシュバックするっていうことはわかっていたのだけれど、まさか暴力行為を目にしただけで起こるなんて……。
自分がなんだか情けなくなってしまう。
「う、うーん……」
「彩智、大丈夫か⁉」
「おにい、さま……?」
ゆっくりと瞼を押し開けると、お兄様が今にも泣き出しそうな顔でわたしを見下ろしていた。
「アイツら、コロしとくか? そうだな。彩智の平和な学園生活のためには、それがいい」
ブツブツと口の中で物騒なことをつぶやきながら、折りたたみイスを倒しそうな勢いでお兄様が立ち上がる。
「だ、ダメです、お兄様。お願いだから、乱暴なことはしないで」
お兄様の制服の裾をぎゅっと握って引き止める。
「そう……だな。すまない、彩智」
もう一度お兄様がイスに座り直すと、わたしはホッと胸をなでおろした。
「……やはり彩智をこの学園に呼んだのは間違いだったか」
そうつぶやくと、お兄様は手のひらに爪が食い込むほどぎゅっと拳を握り締め、苦しげに顔を歪めた。
「ごめん……彩智」
そんな顔をしないで。
これ以上ご自分を責めないで。
だって、弱いわたしが悪いのだから。
今まで、男性に触られると怖い思いをしたときのことがフラッシュバックするっていうことはわかっていたのだけれど、まさか暴力行為を目にしただけで起こるなんて……。
自分がなんだか情けなくなってしまう。



