学園最強の兄は妹を溺愛する

「あの、お兄様はなんて?」

「彩智から一瞬たりとも目を離すな。無事連れて帰れ。と」


 お兄様……。


「どうする、彩智? ここから先は、彩智が選べ。俺と一緒に来るか、それとも、ここに残って三人で過ごすか」

 蒼真さんにじっと見つめられ、目を逸らせない。


「わたしは……蒼真さんと……二人でいたい」

「わかった。なら、行こう」

 そのまま蒼真さんに手を引かれ、国内線の搭乗手続きを済ませると、わたしたちは保安検査場へと向かった。


 えっと……また飛行機に乗るってことですよね?

 まさか、そんな遠くへ行こうとしていたなんて。

 どこへ行こうとしているのでしょう?


 ……ううん。そんなの、どこだっていい。

 蒼真さんと一緒にいられるのなら。


 ぎゅっと蒼真さんの手を握ると、蒼真さんがわたしの方を振り返って、ちょっとだけ驚いた顔をした。


「あ、えっと……どこに行くのか、楽しみです」

「ああ。楽しみにしていてくれ」

 わたしが笑ってみせると、蒼真さんもふっと表情を和らげた。