「暁斗くん、ありがとう」
今の涙はきっと嬉し泣き。
「泣き過ぎ」
「そうだね、ごめんね。私…自分に自信持っていいのかな」
わっ!私なに言ってんだろ!!
「あっ!違くて!!えっと…」
私の顔を掴んでた手が、グッと暁斗くんの方へ私を引き寄せる。
「まだわかってねぇの?俺がこんなに好きになったんだ。自信しかねぇだろ?」
すき
「あはは。そうだね!」
キスしたい
「暁斗くん、キスしていい?」
「無理」
ガーーーーーーーーーンッ!!!!!
顔はまだ掴まれたまま。
私はかなりのショックを受ける。
「うそ♪聞かなくていいんだよ、んなこと」
ニッと笑う顔もかっこいい。
こんの、悪魔〜!!!
暁斗くんと久しぶりのキスをした。
ーーーーーーーーーーー
「暁斗くん、飯田さん送ってくれてありがとうございます」
「飯田、ちょっと待ってて」
「かしこまりました」
へ???
「暁斗くん?」
私より暁斗くんの方が先にアパートの階段を登る。
ピンポーンッ
え、あの暁斗くん?
私鍵持ってるけど。。。
ガチャッ
「伊織!!」
お母さんがドアを開けて私に抱きついた。
「もう!心配したんだからね!!」
あ、、あのままお母さんに連絡してないままだった…。
「ごめんなさい…」
「ううん、違うわ。お母さんが悪いわね。ごめんなさい」
お母さんが暁斗くんの方へ向いた。
「暁斗さん、連絡をくれてありがとうございます」
「いえ」
暁斗くん、お母さんに連絡までしてくれてたんだ。
甘えてばかりだ…。
「お母さん、いおの気持ち聞いてやってくれます?」
家の中に入って3人で座る。
「晴は?」
「もう寝たわ」
そっか。
「お母さん…わがまま言ってごめんね。私…やっぱり進学したいの。まだ夢というか、目標も決まってないんだけど…」
お母さんを見ると私を見て微笑んでくれていた。
「目標なんて、気づけば出来てるわ。ゆっくり探しなさい」
私はお母さんに抱きついた。
「ありがとう…」
ポンポンッと優しく私の背中を叩いてくれるお母さん。
なんだか、小さかった頃を思い出した。
こんな風にお母さんに甘えるのはいつぶりなんだろう。
「頑張って奨学金もらえるようにするから」
「そのことで提案なんですけど」
今まで黙ってた暁斗くんが口を開いた。
「お母さん、急ですが明日から夏休み終わるギリギリまでいおをウチで預かってもいいですか?俺が毎日家庭教師します」
へ・・・???
「暁斗さん、そんな迷惑ばかりかけられないわ」
「迷惑なんてありません。ただこのままだと奨学金は危ないと思います。明日から叩き込んでいきます」
暁斗くん、まさかこれを言いに!?
「ウチは構わないんだけど…いいのかしら?」
はぁ!?いいんかいっ!!
お母さんに心の中でツッコんでしまった。
「えと…暁斗くん、それは悪すぎるし…」
「あ?おまえが意見する資格なんてねぇんだよ」
お母さんの前でも安定の俺様。
暁斗くんがスマホを出して画面を見せてきた。
「この成績でよく意見なんて言えるな?明日からわかってんだろうな?」
おわー!!!
「なんで成績表の写真持ってるの!?」
「お母さんが送ってくれた」
「暁斗さんがね、伊織と家で話しをしてるって連絡をくれたから面談の時のことを軽くお話しして送ったの」
ここの繋がり、おそろしや。。
「ってことで♪明日から俺ん家に住み込みで勉強するぞ。朝イチ迎えに来るから準備しとけ」
「でもっ!バイトとか…!」
「バイトは行け。俺も仕事あるし。お互い仕事以外は勉強だぞ」
怒涛の展開でついていけない。
「じゃあな、伊織チャン?」
暁斗くんは帰っていった。



