胸がヂリッとした。
「そろそろ暁兄たち出てくるかな?俺、戻るね」
行っちゃう。
「…和希くん!!」
あー…また大声を出してしまった。
弟くんはこっちを見て目を見開いている。
私は目を合わせれず、そらしてしまった。
弟くんがこっちに近づいてくる。
「その呼び方は伊織だけなんだよね」
ズキンッ……
わかってたくせに、なに一丁前に傷ついてるんだか私は。
慣れないことして、勇気出して…
なにやってんだろ。。。
「みっちゃんだけの呼び方で呼んで欲しいんだけど」
え・・・
顔を上げると、弟くんが私を見て優しく笑ってた。
年下で幼いところもたくさんあるのに、背は高くて綺麗な目に見惚れてしまう。(180近くある?)
「みっちゃんも戻ろ?コンビニついてくー」
やっぱり全然掴めない。
「弟くん、なにか奢ってよ」
「えー、俺年下なのにー」
まだ、誰にも言ってない
私の不確かな気持ち。
——————————————
コンビニから帰ってきて、女子会開催。
色んな話をしてすごく楽しい時間。
少しして伊織のスマホが鳴った。
「暁斗くんたちが、10分後ぐらいにこっち来ていいかって言ってるんだけどどう?みんなでトランプとかしない?って」
「あら、いいじゃない。お風呂上がりの暁斗さんに会いたいわ」
御曹司くんたちが部屋に来るらしい。
「暁斗くんたちが来るまでちょっとベランダで涼むね」
伊織がベランダに向かった。
私も追いかけた。
「みっちゃん、楽しんでる?」
「もちろん。みんな面白くて良い人だね」
「えへへ。みっちゃんをみんなに紹介出来てよかった」
こんな素直で可愛い伊織に敵うわけない。
「ねぇ伊織。この前のことなんだけど…相談してほしかった」
「みっちゃん…」
この前のこととは、御曹司くんのお祖父さんの件のこと。
「私がタイミング悪く風邪引いて休んでたから悪いんだけどさ…伊織が辛かった時になにも力になれなかったのが悔しくて…」
もう1ヶ月も経つのに、なに言ってんだろ。
伊織、困らすだけじゃんね。
本当は何回か言おうとしてみたけど、なかなか言い出せなかった。
「私、、伊織の親友のつもりだから…。もっと頼ってほしい」
俯いていた顔を上げて私はギョッとした。
「なんで伊織が泣いてんの!?」
「だって…親友って言ってくれて嬉しいから……」
もう、この子は。。
「私も…みっちゃんに聞いてほしかったよ。だけどいつも頼ってばっかだし体調悪い時にまで迷惑かけちゃダメだなって思って…」
私は伊織の手を握った。
「そんな時も頼るのが親友でしょ?」
頑張り屋で、ちょっと抜けてるところがあって、妄想で鼻血出したりする伊織が大好き。
「みっちゃんは初めて自分から声かけた大切な親友なんだよ」
「あー、なんかキョドリながら話しかけてきてたね」
「ヒドイ言い方!!」
私の大切な親友。
「ねぇ、みっちゃん。あれから金谷くんとはどうなの?」
「はぁ!?金谷なんか興味すらないよ」
「えー!この前もみっちゃんに会いに教室まで来てたじゃん」
「クラス別々になってホッとしてたのに」
いつか、弟くんの話を伊織にできる時がくるかな。
「おーい!暁斗たち来たよ〜」
「はーい。伊織、戻ろっか」
「うん」
もう少し、この旅行の時間が続いてほしいな。



