「えっ!私まで行っていいの!?」
「うん。みっちゃんにはいつも世話になってるし。いおも喜ぶ」
「御曹司くん、ありがとうー!!」
えーっと…
「あの…」
「なに?てか、なんでいお突っ立ってんの?」
「ここ、どこかわかってる?」
「いおのクラス」
そう。
今は放課後。
他校生の暁斗くんが私のクラスにいるのだ。
「暁斗くん、優聖だよね?」
「あ?今さらだろ。頭わいたか」
あ、やっぱり嫌い。
ものすごく嫌い。
「もうさ!当たり前に他校の、しかもクラスに来ちゃダメだよ!」
「なんで?今日なんか顔パスで通れたぞ」
なんで?って聞ける暁斗くんの感覚もわかんないし、そもそも学校のセキュリティも大丈夫かってなる。
「1ヶ月後空けててよ」
「うん!もちろん!」
みっちゃんと暁斗くんで話は進んでいく。
置いてけぼりってこういう感覚なんだね。
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1ヶ月後の6月中旬の週末。
朝9時、暁斗くんの家の前に集合していつもより少し大きめの車にみんなで乗る。
「全員揃ってんな。飯田、出して」
「かしこまりました」
そう、みんなというのは
「暁兄のおごりとか、なんか怖いよねー」
呑気な和希くん
「暁斗さんとの旅行…悪くないわね」
今日も変わらずクールな金澤さん
「なぁ伊織。夜って俺皆実と同じ部屋かな!?同じにしてくれる!?」
なにやら暁斗くんを守った方が良さそうな雰囲気の佐伯くん。
「伊織ちゃんと一緒とかヤバイんだけど!!一緒にお風呂入って一緒に寝よーねー!」
なんだか私自身も身の危険を感じる理香さん。
「えっと…弟くんと佐伯くん以外はじめまして…!」
緊張気味のみっちゃん。
そして私と暁斗くん。
先日の騒動でご迷惑をおかけした皆さんに、暁斗くんがお詫びに旅行をプレゼントすることにしてくれた。
私はなにもお礼もお詫びも出来ず…。
「でも、こんな梅雨真っ只中で旅行言う〜?」
「和希、気に入らねーんなら帰れ」
「伊織〜!暁兄、冷たいよな〜」
そう言って和希くんが私に抱きつく。
「テメェ、ことある毎にいおに抱きつきやがって!離れろ!」
わちゃわちゃな車の中。
もうすでにカオス。



