「1,200円になります」
「連絡先交換しませんか?」
「無理です」
「じゃあ、せめて私の番号だけでも」
「いりません」
なんでこんなことが起こってるんだ・・・。
ーーーーーーーーーーーー
(回想)
あのあと泣き疲れて寝てしまってた私。
最悪!!
「おはよ」
目を開けると、大好きな人の笑顔とおはようの声。
暁斗くんが隣で寝転んでて、こっちを見ていてあまりに美しい顔に後退りしてベッドから落ちてしまった。
「いお、なにしてんの」
「気にしないでください」
「鼻血出てるけど」
あ…暁斗くんの顔に興奮して鼻血出してる。。
あんなことがあった後だっていうのに、自分の煩悩に引いてしまう。
どんな風に暁おじを説得したのか、内容はきちんとは教えてくれない暁斗くん。
だけど、今回のことは解決したって言ってくれた。
お父さんも仕事を辞めさせられないで済むって。
このまま、暁斗くんといていいんだよね?
「わぁ!!ヤバイ!バイトに遅刻しちゃう!」
どんなけ寝てたんだ、私。
この週末、ほとんど寝れてなかったせいか爆睡してしまってたようだ。
「飯田に送らせる」
グイッ
腕を引っ張られて暁斗くんに倒れ込んでしまった。
「あ、ごめんね…!」
「ほらっ行くぞ」
優しい笑顔に心臓がドキドキうるさい。
ホテルの下に着くと、飯田さんが待ってくれていた。
「飯田さん、あのさっきはありがとうございました!!」
飯田さんが身を挺して、私や暁斗くんを助けてくれた。
ポンッ
飯田さんが私の頭に手を乗せた。
「お礼を言うのはこちらです。伊織様」
パシッ
飯田さんの手を払いのけた暁斗くん。
「触んな」
「大変失礼いたしました」
ーーーーー
アルバイト先のコンビニに到着した。
無事間に合ったー!
「じゃあいお、あとで迎えにくるから。その時ゆっくり話そう」
「うん。暁斗くん、ありがー…「阿部さん!!」
暁斗くんと話しているとオーナーの奥さんがお店の中からやってきた。
なにやら慌ててる様子?
「もうひとりのバイトの子が急に休むって連絡あって!私もこの後抜けないといけないし…。今代わりを探してるんだけど」
えぇ!!
夕方のピークをひとりはさすがに厳しい。
どうしよう、、、
「じゃ、俺が働きます」
「…はい?」
私は暁斗くんの言葉にフリーズしてしまう。
「俺、働いていいですか?あ、給料は入りません。いおと働けるなら」
おいおい、この人なに言ってんの?
「阿部さんの彼氏さん!!本当にいいの!?お給料はきちんと払わせてください!!」
クリスマスの日に何気にスカウトしてたもんなぁ〜…
「じゃ、レジとか教えてもらえます?」
「もちろん!!ありがとう!!」
え、あの…
肝心な私は置いてけぼりで、とんとん拍子に話は進んでいった。
(回想終了)



