大嫌いな王子様 ー後編ー


プルルルー…

「もしもし」

「久しぶりだな」

「あぁ。叔父さんの件か?」

「そうだ」


暁斗たちが帰ったあと、理香の父親(私から見れば従兄弟)に電話をした。


「こちらのことで迷惑かけてすまない」

「理香がもし解雇したら一生口きかないと言ってね。困ってるんだよ」

「相変わらずの娘溺愛だな」


父さんは本当、手段を選ばない。


「おまえにこれ以上迷惑はかけない。こちらでケリをつけるよ」

「迷惑なんかかかってない。ただ…」

「ただ?」

「おまえと咲さんの時のようになってるんじゃないかと思ってね。暁斗や相手の子は大丈夫なのか?理香も心配している」


コイツには咲とのこともよく相談にのってもらっていた。


「こちらで出来ることはなんでも言ってくれ。昔のように」


「あぁ、ありがとう。久しぶりに理香を連れて遊びに来たらどうだ?」

「そうだな。今度寄らせてもらうよ」



(回想)

ー高校3年生の頃ー


「ねぇ!こんなことで別れるって言うの!?」

「でも、そうしないと咲に迷惑がかかって…」

「それぐらいの気持ちだったってことね!なら、こっちから願い下げだわ!」


辛いのに強がるくせがある咲。


「咲が本音を言わないからだろ」

帰ろうとした咲を後ろから抱きしめた。


「あんたがいつまでもウジウジしてるからじゃん。私は大丈夫って言ってるのに」

「俺だって別れたくない」

「なら別れなくていいじゃん。簡単なことでしょ?」


どうして、そんな風に笑ってくれるんだよ。
俺のせいでこんな想いをさせてるのにー…。


(回想終了)


ちょうど今の暁斗たちと同じ年の頃だったな。


「フ…」

「なに笑ってんだよ」

「いや…尻に敷かれてたなぁと思って」

「咲さんにゾッコンだったもんな」

「今もだよ」


咲、安心しろ。
必ずあの子たちは私が守るから。