一昨日の土曜日。
コンコンコンッ
「入れ」
「失礼いたします。会長、坊っちゃまたちがお越しでございます。ご案内してもよろしいでしょうか?」
「暁斗たちが…?」
なにかあったのか。
「かまわん。連れてこい」
少しして暁斗と和希が部屋にやってきた。
「会長室、俺初めて入ったよ」
「俺も初めて」
「え!暁兄も!?」
珍しい兄弟(セット)に少し驚いてしまう。
「なにしに来た」
「父さん、お願いがあります」
あの娘のことか?
「いおを助けてください」
あの暁斗が頭を下げた。
「悔しいけど…俺の力じゃなにも出来ないってわかって…」
コイツなりにしっかり考えた結果なんだろう。
あの娘のために自分が今なにが出来るのか。
「父さんがなにかしてきたのか?」
私の耳に入らないようにしてきたか。
「あぁ。ジジイの側近と飯田が仲が良いおかげで知れた」
「なるほどな…」
咲とのことを思い出す。
「あの子の父親あたりを狙ってきたか?」
「なんでわかるんだよ!?」
変わらんな…父さんも。
私たちにしてきたことを暁斗にもするのか。
「父さん、俺からもお願いです」
ずっと黙っていた和希が口を開いた。
「伊織を…伊織と暁兄を助けてください。お願いします」
「和希…俺のことって……」
「俺にはこれしか出来ないからさ」
なるほど。
和希も成長してるんだな。
「おまえたち、そこに座れ。話を詳しく聞かせてもらおう」
私は机に飾っている咲の写真に目をやった。
咲、これが俺の役目だよな?
「おまえたち、そもそもそんな私情で会社に来ていいと思ってるのか」
私はデスクから暁斗たちのいるソファに向かった。
「仕方ねーじゃん。急ぎなんだし」
「暁兄が会社なら父さんが捕まるからって言ってたよー」
まったく。。
しっかりしてるようでまだまだ子どもだな。
「飯田も呼びなさい」
少しは父親らしくいれるのだろうか?



