大嫌いな王子様 ー後編ー


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「なにしにきた」

「え、、だってお父さんから連絡くださいましたし」

あれから数日後、暁おとから連絡をもらったので学校終わりにバイトまでの時間を使って暁おとの会社に来させてもらった。

“いや…父さんの会長室、俺入ったことないからさ”

暁斗くんのあの言葉が少し引っかかってて…もしなにか理由がわかればと考えてたら、もうここに来るしかないと思ってしまった。


「私は今のきみの状況をメッセージで聞いただけだ。会社に来いとは言っていない」

「すみません…。お礼も言いたかったのと、明後日からしばらくアメリカだと暁斗くんに聞いたのでご挨拶もしたくて…」

「きみからの挨拶などいらん」



やっぱり親子だ。
優しいモードもあれば、鬼悪魔モードも健在。


コンコンコンッ

「入れ」

「失礼いたします。会長、少しよろしいでしょうか?」

「今行く」


暁おとが席を立つ。



「飲み物を持って来させる。少し待ってなさい」

そう言って暁おとは部屋をあとにした。

やっぱり優しいな。



私は咲さんの写真の前に言った。
やっぱりあの花も飾られている。


前にネットで調べた写真と見比べる。

アマゾンリリーってお花であっていた。


花言葉は…純愛。 
暁おとは知ってるのかな。


私もこのお花が大好きになった。



チラッと暁おとの机の奥の窓に目をやると、さすがの景色で窓際まで行って改めて景色を見る。
高層ビルはすごいなぁ。


ソファに戻ろうと振り向くと暁おとの机に写真立てがあった。


「え…これって……」



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ガチャッ

「すまない、待たせたな」

「お父さん!!!」

「な、なんだいきなり!」



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「お疲れ様でしたー」

バイトを終えていそいそとコンビニを出る。


「遅い。いつまで私を待たせる気だ」

「すみません。でもちゃんと時間通り上がりましたよ」

「女子高生がこんな時間まで働くなどダメだ。今すぐ辞めなさい」

「いや無理です。生活出来なくなります」


え、そもそもあなたが別の仕事探せって言ったよね?


「旦那様、もしよろしければ伊織様をご自宅でのお仕事に戻っていただくのはいかがでしょうか?」


えっ!!??

暁おとと一緒にいた飯田さんが突然こんなことを言いだした。



「そうだな。では私がここのオーナーと話をしよう」

そう言って暁おとがコンビニに入ろうとした。


「おわー!待ってください!!」

いきなり過ぎてついていけない。



「いきなり辞めるとかお店に迷惑かけるんで…それにたくさんお世話になってますしまだ辞めたくありません」


私をジッと見る暁おと。


「…わがままな娘だ」


車に乗り込む。

「きみも早く乗りなさい」

「…はい。ありがとうございます」

今まで知らなかった暁おとがたくさん見れて忙しい。



「旦那様、きっとご自分の娘のように思われていますね、伊織様のことを」

「え…?」


車に乗り込もうとした私にボソッと言った飯田さん。
シーっと口元に人差し指を立てた。



暁おと…そんな風に思ってくれてるのかな。
もし……そうだったら嬉しいな。


「早く乗りなさい。きみは相変わらずノロマだな」

あ、やっぱりひと言多い。