ガチャ
そっと部屋のドアを閉じた。
なんだか寝つけないので、顔を洗って歯磨きをして早めだけどみんなの朝ご飯を作ることにした。
大晦日からずっとお世話になっちゃってるしね。
洗面所を出てキッチンへ向かおうと階段に向かっていると
「いお?」
後ろから大好きな人の声が聞こえた。
急いで振り向くと、そこには暁斗くんがいた。
「え…なんでこんな時間に……?」
「それは俺のセリフなんだけど」
・・・
ヤバイ、なにか言わなくちゃ。
「あ、今日のパジャマすごく似合ってるね」
「は?いつものジャージだけど」
「寝癖も素敵」
「ふざけてんのか」
えーー!!
あの取り扱い説明書(とりあえず褒める)全然ダメじゃんか〜!!
私がワタワタしていると
「ぶはっ!いお変だって」
暁斗くんが笑ってくれた。
もしかしたらあのトリセツ、意外と当たってるのかも。。
「あのね暁斗くん…」
揉めちゃった原因の誤解を解きたい。
「お前ちゃんと寝たのか?」
「ふぇっ!?えっと…ぼちぼち?」
「寝てねぇな。アンディーは?」
「部屋で寝てるよ」
数時間前の暁斗くんはどこへやら。
普通過ぎて少し戸惑ってしまう。
「お前どこ行こうとしてたん?」
「寝つけないし、朝ご飯作ろうと思って」
「ふーん…。少し喋るか」
「わっ!」
そう言って私の腕を引っ張って歩きだした暁斗くん。
コポポポー…
やってきたのはダイニング。
そして今暁斗くんご希望のホットコーヒーを淹れている。
「いお、喉乾いた。早く」
「暁斗くんがホットって言ったから時間かかってるんでしょ」
「あ〜そうだったな」
なんでそんな嬉しそうに笑うの。
暁斗くんの表情ひとつひとつにドキドキがすごくて、私の心臓は大忙し。
私も一緒のホットコーヒーを用意してソファに座ってる暁斗くんの隣にちょこんと座った。
「あ…このコーヒー、美味しい」
「だろ?最近のお気に入りなんだよ」
お気に入り・・・
「あはは!お気に入りって可愛い言い方だね」
「あ?バカにすんなよ」
照れて顔を赤くする暁斗くんも可愛い。
「…いお、さっきはその…ごめんな」
私は数秒思考停止をした。
「いお…?」
「暁斗くんが…謝った」
「やっぱしばく。2度と謝らねぇ」
「わぁー!ごめんね!冗談だから!」
こんな風なケンカで暁斗くんから謝ってくれるなんて。
てか!!
「違うよ!私が…誤解させちゃってごめんね」
「ん?」
じっと私を見る暁斗くん。
なんだろう、この気持ち。
ぎゅってしたくてたまらない。
「結婚のこと。私ね、結婚が嫌とかそんなんじゃないんだよ。うまく言えないけど…結婚を一緒にいるための方法とかじゃなくて、これからもずっと一緒にいれた先のこととして考えたくて…」
ちゃんと伝わってるかな?
「大切なことだと思うから…一緒に時間をかけて考えたいって思ったの」
すると、なにも言わず暁斗くんがフイッと顔を伏せた。
やっぱり伝わってない!?
「さっきはついケンカになっちゃったけど、暁斗くんが私といるために考えてくれてるって思ったら嬉しかったからね…きゃっ」
グイッと腕を引っ張られて気づけば暁斗くんの腕の中。
「暁斗くん…?」
「あぁーもう…俺ってだせぇ」
抱きしめる力が強くなる。
「そんな風に想ってくれてたんだ?」
今どんな表情(かお)してるの?
「あ、当たり前でしょ!私がそばにいるって言ったんだよ!」
ねぇ、こっち向いて見せてよ。
「早くそんな気になるようにしてやるから、これから覚悟しとけよ」
あ、、やっと見れた。
照れてか、少し赤い顔。
だけど勝ち気な目。
「楽しみにしてます。大好きな暁斗くん」
そんなあなたすらかっこよくて見惚れてしまう。
「あー…マジずっと隣にいろよ。繋いどきたい」
そう言って暁斗くんは私にキスをした。
こんな重々発言も愛しく感じるのは恋の病気でしょう。
それでもいいんだ。
ところで・・・
やっぱりあのトリセツは当たっているのかもしれない!!
これから使えるじゃんか!
ーーーーーーーーーーーーー
「わ、可愛いカップル♡」
「ムカつく。朝から見せつけやがって」
「和希坊っちゃま、まだ起こさないでいてあげてください」
「坊っちゃまも伊織さんも、とっても幸せそうですね」
私たちはあれからソファで寝てしまっていた。
手を繋いで、お互い寄りかかるように。
目が覚めたら目の前に
アンディーさん、和希くん、飯田さん、牧さんがいてパニックになったのは言うまでもない。



