大嫌いな王子様 ー後編ー

「“結婚”が暁斗くんとこれからも一緒にいる先にあることなら、もちろんしたいです。だけど…」

「だけど?」

「うまく言葉に出来ないけど…まだ漠然とし過ぎてて。。こういうことってもっと時間かけて考えたりすることなんじゃないかなって思っちゃって…。私にとっては結婚はまだまだ想像も出来ないことだけど、一緒にいるための“方法”じゃなくて、これからも一緒にいれた“先にあること”な気がしてて…」


そう。
暁斗くんと結婚が嫌なんてない。
だって、大好きでこれからも一緒にいたいんだもん。

だけど、そのために結婚するのってなにか違う気がしちゃって。。


「イオリもちゃんと考えてるんだね」

「え?」

「ちゃんと言ってあげて、あの悪魔のキモ野郎さんに」

「あ!でも悪魔のキモ野郎は最近たまにしか出なくて…」

「あはは!!結局イオリがアキをフォローするのね!その気持ち、ちゃんと伝えてあげて。アイツ、イオリに結婚嫌がられてるって思ってショック受けてんのよ。アキってあー見えてめんどくさい男ねー」


え…そうだったの……?


「日本じゃあ“メンヘラ”って言うんだっけ?メンヘラで重い男かぁ。…キツイな」

「アンディーさん!!結論言わない!!」


思わずツッこんでしまった。


「それぐらいアキはイオリが好きってことよ。アイツ、普段強がってるけど本当は寂しがりやで傷つきやすくて…そんな人よね」

「アンディーさんって暁斗くんのこと、とてもわかってるんですね」


チクッ……
そう、私なんかよりずっと。
こんないい人のアンディーさんにヤキモチを妬いてしまう情けない私なんかよりずっと。



「仕事での付き合いが長いだけよ。だけど、アキに色んな表情をさせられるのはイオリだけよ」


私の恥ずかしいヤキモチを察してくれたのか、アンディーさんは優しい言葉をくれた。


「気を遣わせてしまってごめんなさい…」

「なにを謝ってるの?アキにそれだけ好きって伝えてあげて。喜ぶだろうなぁ」


アンディーさんは少し意地悪な笑顔で笑ってる。
そんなアンディーさんも綺麗。



「なにか紙ある?アキに対しての注意事項でも書いちゃおっか」

「注意事項!?」


わちゃわちゃしながら夜はふけていった。




夜中4時ごろ、いやもう朝方になるのかな?
アンディーさんはさっき寝たところ。
私の話をあれからもたくさん聞いてくれた。


カサッ
アンディーさんと書いた【暁斗くんの取り扱い説明書】

こんなの本人に見つかったら・・・
想像しただけで寒気がする。


・なるべくたくさん好きだと伝える
・男の人とふたりきりにならないようにする
・可能な限りそばにいてあげる(寂しがりやだから)
・意味不明にキレだしたら無視してしばらく放置する
・それでも機嫌が直らなければとりあえず謝る
・とりあえず褒める

改めて見てもふざけた内容だな。

1つ目は…恥ずかしいけど頑張りたいな。
2つ目と3つ目は、、まぁ可能な限りは。。でも無理な時もあるよね。
4〜6つ目はもうテキトーだよね。


でも、アンディーさんと考えた時間がなんだかすごく楽しくて、暁斗くんのことも可愛く思えて幸せな時間だった。


これのどれかを試せたらいいな、なんて思ったり。