「それで、これからのことだけど」
私たちが騒いでいるとアンディーさんと飯田さんが戻ってきた。
そして、今4人?いや5人で会議中。
飯田さんは椅子に座らず立ったまま。
「もうアキとイオリ、婚約しちゃえば?結婚もあり?」
はい・・・??
「俺はいいけど…いおは?」
へ!?
そんな簡単に決めちゃうものなの!?
「いや…えっと・・・」
「俺と婚約…というか結婚、嫌なのか?」
「え、だから…」
嫌とかじゃなくて、極論過ぎない!?
そういうことってもっと時間かけて考えることじゃないのかな!?
「それは絶対だめー!俺が認めない!」
私が言葉に詰まってると和希くんが反対してくれた。
「そうなの?良い案かと思ったんだけど」
アンディーさんもこの案は諦めてくれたようだ。
助かった…
私は無意識にホッとしてしまった。
その瞬間、バチッと暁斗くんと目が合った。
でも暁斗くんはフイッと目を逸らした。
どうして目を逸らしたの?
「我が社との取引は絶対だから、それをアキを筆頭にってアピールすればー…」
「今も変わんねぇだろ。でもやっぱ仕事で黙らすしかねぇから…」
あぁ。なにも力になれない領域になってしまった。
ふとアンディーさんたちのグラスを見ると空になっていた。
私は席を立ち、飲み物を取りに行く。
冷蔵庫から飲み物を出していると、後ろから物音がした。
振り向くと暁斗くんがいた。
「なにか欲しい飲み物ある?」
「別に」
やっぱりなんか変だ。
「そっか。じゃあ、もう夜遅いしコーヒーとかはやめてお茶にするね」
グイッ
「いたっ…」
暁斗くんに腕を引っ張られて、壁と暁斗くんに挟まれた。
「…どしたの?」
なにか怒ってる?
不機嫌そうな顔。
「いおって…口だけ?」
「は・・・??」
は・・・??
意味がわからなさ過ぎて、心の声が同時に口から出てしまった。
「え、意味がわかんないんだけど…」
ぎゅっ
私の手首を握る力が強まった。
「あき…」
「俺と一生一緒にいる覚悟もねぇくせに…中途半端なこと言うんじゃねぇよ」
ドクンッ
そう言った暁斗くんの表情が怒っていて、でも…すごく悲しそうで胸が痛くなった。
「えっと…なに言ってるかわかんないから!ちゃんと説明して!」
「…ウザイ」
暁斗くんはそう言ってアンディーさんたちの元へ戻っていった。
・・・・は?
意味がわかんないんだけど。。
どうしてあんな悲しそうな顔をしたの。
私だってこれからもずっと一緒にいたいのに。
だから、話し合ってるんじゃなかったの?
あかん、不安とかの気持ちをかき消してしまうぐらい
ムカついてきた。
なんなん、ウザイって!
ダンッ!!!
私は暁斗くんの前にお茶の入ったペットボトルを思いっきり振り下ろした。
「…あ?普通に置けよ」
「別に普通ですけど」
「ふーん。お前の普通って、ガサツで品がないな」
ピキッ…
怒りのスイッチをバンバン押してくるキモ野郎(←久々この呼び方復活)
冷たい目で私を見る。
「急に人に向かってウザイとか言う奴より、数倍マシだと思うけど?」
「テメェ…誰に向かって言ってんだよ」
「そんなんもわかんないの?頭全然良くないじゃん」
言い過ぎだってわかってるけど、口が止まらない。
「伊織、どうしたんだよ。もうそのへんにしとけって」
「暁斗くんが売ってきたケンカだから」
和希くんの制止にも耳を傾けられない。
「へぇ〜…俺からなんだ。自覚もねぇんだな、お前」
「アキ、なにに怒ってるの!?やめなって」
「坊っちゃま、伊織様、皆様の前でございます。お控えを…」
ガタッ
暁斗くんが立ち上がった。
「アンディー、さっきの話で進めてくれ。年明けの役員会議で必ず実現させるから」
そう言って暁斗くんは部屋をあとにした。
私の方は一切見ずに。
なんなのよ、、、バカ暁斗くん。
「なんでこのタイミングでケンカすっかなぁ」
和希くんが私の頭を撫でる。
「なんとなく、暁兄の気持ちもわからなくはないけど」
「え?」
「まぁ、アンディーが時間いけんなら女同士で話したほうがいいんじゃね?」
チラッとアンディーさんの方を見る和希くん。
アンディーさんはコクっと頷く。
ぎゅう!!
「わぁ!!」
和希くんがいきなり抱きついてきた。
「和希くん!離して!」
「ほんとはこんなチャンス、つけこみたくてたまんないけど…我慢してあげるね♪」
そう言って和希くんも部屋をあとにした。
「飯田」
「はい」
「私、イオリの部屋に泊まっていいかしら?」
「もちろんでございます。すぐご準備いたします」
えっ!!!
「イオリ、夜中までガールズトークをしましょ♪」
アンディーさんとお泊まりをすることになった。



