「お疲れ様でした〜」
21:45に上がって外に出ると
「お疲れ様」
暁斗くんが待っててくれた。
「お迎えいいのに」
「は?俺に会いたくねぇのかよ」
なぜケンカ腰になるんだ。
ちゃんと話せたかな??
「父さん来たか?」
「うん。お昼来てくれてジュースも買ってくれたよ」
「チッ…」
なぜ舌打ち!?
繋いでいた手をさらにぎゅっと握る暁斗くん。
「ムカつく…俺が来たかったのに」
「あはは。暁斗くん、なんか可愛い」
「あ?バカにすんな。そもそもアンディーのせいだし」
「え!アンディーさん来てたんだ!会いたかったなぁ」
そういえば去年も元旦に来てたな。
暁斗くんと無事付き合えたこと、ちゃんと報告したいなぁ。
「心配いらねーよ。アイツまだいるから」
「へ?」
お母さんに暁斗くん家に寄ることを伝えると「泊まってきてもいいわよ♡」と呑気な返事が。
あのおかん。。。
「お前の母さん、やっぱおもしれーな」
「暁斗くんたちに甘えててごめんね」
「なんで謝んの?俺は一緒にいれて嬉しいんだけど」
ほら、そうやって優しいことをポロッと言う。
「えへへ」
今度は私が繋いでた手をぎゅっと握った。
ーーーーーーーーーーー
「イオリ〜!!会いたかったわぁ〜!!」
暁斗くん家に着くと玄関でアンディーさんが迎えてくれてハグをしてくれた。
「アンディーさん、お久しぶりです!私も会いたかったです」
奥から少し顔がやつれた感じに見える和希くんがやってきた。
「やっと帰ってきた…。アンディーにずっと捕まってたんだけど」
そうだったんだ。
「あらっ!なにその言い方!和希に会えたの数年ぶりだったんだから私の相手するのは当然でしょう?」
「もう十分相手したって!」
ひそっ
「和希、家出前からアンディーになかなか会おうとしなかったからさ。今日昼過ぎに来たからずっとこの調子」
暁斗くんが耳打ちしてくれた。
「そうなんだ。アンディーさんも久々に和希くんに会えて嬉しいよね」
ガシッ!!
「さぁ!!作戦会議よ!!」
いきなりアンディーさんに肩を抱かれた。
「え!?作戦会議ってなんですか!?」
「アキとイオリの“これから”についてよ」
そう言って私にウインクをするアンディーさんがとっても綺麗で見惚れてしまった。
「あの、アンディーさん私たちのこと知って…」
「当たり前でしょ!去年、付き合ったってアキからすぐ連絡あったからね♪アキ嬉しくてテンション上がってたわよ〜」
え…そうなの??
「アンディー!余計なこと喋んな!」
「はぁ!?誰に向かって言ってんの!?」
「お前だよ!」
「今は仕事関係ないから対等よ!」
慌てた様子の暁斗くん。
本当なんだ…って実感出来てすごく嬉しくなる。
「よかった。私もアンディーさんに言いたかったんです。アンディーさんのおかげで暁斗くんと付き合うことが出来ました!ありがとうございます!」
なんだろ、このポカポカした気持ちは。
お祖父さんのことなんて、今は忘れてしまえるぐらい。
「じゃあ、話し合うわよ!でもその前に3人で話してね」
「「「えっ!?」」」
珍しく私たち3人がハモった。
アンディーさんは私たちを残してダイニングを出ていった。
なぜか静まり返る。
「喉乾いた」
恐らく10秒ぐらいだったと思う。
だけどその10秒がすごく長く感じた沈黙を破ったのは和希くん。
「…えっ!?」
「だから、喉乾いた」
「あっ!そうだね!!なにか用意するね」
私はやっと思考回路が正常になり、急いで飲み物を取りに向かおうとした。
「俺も行くー」
そう言って和希くんは私の後ろから抱きついた。
「!?!?和希くん!!離れて!!」
「なんでー。久々のハグなのに」
だから距離感!!
バキッ!
ものすごく大きな音がした。
同時に後ろに感じていた重みもなくなった。
「やっぱ殺されてぇんだな」
「いてー!!暁兄がタラタラしてるからだろ」
「ふ………あははは!!またケンカしてる」
和希くんのおかげで妙な緊張感が解けた。



