大嫌いな王子様 ー後編ー


「ん……」

あれ…?
私、いつの間に寝ちゃったんだろ。。
ぼやっとする視界で、まだ今の状況をきちんとわかっていなかった。


「んー」

聞き覚えがある声が隣から聞こえる。



声がした左側に顔を向けると

えっ!!!なんで!!!???
思わず声が出そうになったが、必死に心の中だけで食い止めた。


和希くんが隣で寝てる。
なんなの、このシチュエーションは!!??


よく考えたら、和希くんの寝顔見るの初めてかも。
さすがの遺伝。
綺麗なお顔で寝てらっしゃる。


…ってあれ?
暁斗くんは!?

やっと昨日のことなど鮮明に思い出し、今暁斗くんの部屋にいることを認識した。



ゴソッ

次は右隣からなにか音がした。

そーっとそっちを見ると、寝起きにはやはり眩しすぎるほどの美しい寝顔が!!
やっぱりこの寝顔には慣れれない。

左では和希くんが寝てて、右は暁斗くんが寝てる。
なんですか、この状況は!!


あ、危ない。
危うく鼻血が出そうだった。
暁斗くんの寝顔はなかなかのパワーを持ってるからあなどれない。



暁斗くん、顔色良くなってる。
よかったぁ。


そーっと暁斗くんのほっぺに手を伸ばす。


パシッ

え!?
伸ばした手を掴まれた。


「いおって寝起きエッチだな」

「…はっ……!?」

意地悪な笑顔でこっちを見る暁斗くん。
いつ起きたの!?

いや、その前に朝からその笑顔は反則ですって!
ほんまに鼻血出てまうから!


「おはよ、いお」

「おは…よう」

あぁ〜おさまれ、私の心臓!!
ドキドキしすぎだから!!


暁斗くんの顔が近づいてくる。

もっもしやキス!?
おはようのキス!!??


待って待って
私、まだ顔洗ってないし歯磨きしてない!
目ヤニとか色々ヤバイから!!


「ま、待っ…」


このままではマズイ。


あ!!!


「和希くん、横にいるから!」

私はひそひそ声の中で最上級に大きくした声で言った。(簡単に言うと、小声です)


「…は??」


暁斗くんが起き上がる。
私の左隣で寝ている和希くんを認識したようだ。



グイッ

「え!?」

暁斗くんに後ろから抱き寄せられた。

ヤバッ不意打ちすぎてドキドキがまた加速する。



「和希テメェ!!とっとと起きろ!!!」

次の瞬間和希くんを思いっきり蹴飛ばした暁斗くん。


「ちょっと!!?暁斗くん!?」


ドサッとベッドから落ちた和希くん。


「…いってぇ。。なんだよ……」

「テメェなんでベッドにいんだよ。ソファで寝ろってあんなけ言ったよな!?」


まだ少し寝ぼけた様子でボーッとする和希くん。


数秒して今の状況がわかった様子。


「えー、だって俺だって伊織と一緒に寝たいし。暁兄だけズルイよ」

「意味わかんねぇよ」



コンコンコンッ

「暁斗坊っちゃま、お目覚めでしょうか?」
ギャーギャー騒いでいると飯田さんがやってきた。

「あぁ」


「おはようございます。暁斗坊っちゃま、和希坊っちゃま、そして伊織様」


「飯田さん、おはようございます」

私は深々とご挨拶をした。




「先程大旦那様が出られました。朝食を召しあがられましたら伊織様は旦那様のお部屋へご案内させていただきます」


ドクンッ

現実逃避してたけどやってきた。


「俺も一緒に行く」

「暁斗坊っちゃま、申し訳ございません。旦那様から伊織様だけのご案内と伺っておりますので」

「そもそも俺ん家のことでなんで…!」
「大丈夫だよ」


「いお…」

「絶対大丈夫だから」

私笑えてる。
それにね


「暁おとって…ほんとは優しい人なんじゃないかなって思ってきたの。最近」

「は…?いお、前から言ってっけどあきおとって…?」

あ!!
ついつい普通に暁おとなんて言っちゃった!!


「いや!えっと!!暁斗くんのお父さん、実は優しいと思うんだよね!!」

「それはない」

「伊織、誰かと勘違いしてるんじゃないー?あんな奴が優しい?悪魔だよ」


暁斗くんの冷め様も大概だけど、和希くんの言い方が酷すぎる!!!