ーーーーーーーーーーーー
「ほぉ〜、暁斗はこのまま優聖大に行って経験を積むと良い。必ず良い経営者になれるぞ」
「…はい。ありがとうございます」
“良い経営者”
バカらしい。
あんたにとっての“良い経営者”は駒として動く奴だろ?
なぁ、じいさん?
「和希、食事が進んどらんぞ。不味いようなら料理を変えさせよう」
「いえ大丈夫です」
あぁ、この感じ
「現会長であるお前から暁斗にしっかり経営者としての自覚を叩き込むんじゃぞ」
「はい、わかってます。父さん」
大嫌いな空間だ。
昔に戻ったみたいに
「暁斗、金澤ホールディングスの吸収は素晴らしかった」
「…いえ、とんでもないです」
支配される。
「和希も兄を見習って本腰を入れて勉強をしなさい」
「…………」
「相変わらずだなぁ、和希は」
「すみません父さん。私からきちんと言っておきますので」
あのくそオヤジですら、頭が上がらない
「和希、お祖父さんと話す時はきちんと顔を見て話せ」
「今食ってるし。食えって言ったり顔を見ろって言ったり…どっちだよ」
ヤバイ
「俺らお腹いっぱいなんで先に部屋に戻ります。ご馳走様でした」
俺は和希の手を引いてダイニングを後にした。
「暁斗!」
くそオヤジに呼び止められた。
「あとで私の部屋に来なさい」
「…あぁ」
和希と部屋に向かう。
「あーウザイ。暁兄よく我慢できるね?」
「はぁ?ウザくてたまんねぇよ。だけど…」
「だけど?」
「いや、なんでもない。お前はとにかくストレスためんな」
もう前みたいになってほしくない。
俺が守るんだ。
「俺ならもう大丈夫だよ」
「え…?」
「“前”とは違うから安心して」
そう言って和希は部屋に入っていった。
和希…
あと4時間ほどで年が明ける。
ほんとならいおと一緒にいたかった。
なのにあの2人のせいで。
俺は先に風呂に入り、それから父さんの部屋に向かった。
コンコンッ
「入るぞ」
「暁斗、ノックは3回だと教えただろ」
「仕事じゃねぇんだしいいだろ。うっせぇな」
なんでよりにもよって、2人とも家にいんだよ。
とっとと海外行けよ。
「で?なんか用?」
また新しい仕事か?
「お前…あの娘と一緒の時にあの人と会ったのか?」
意外な質問に一瞬思考が止まった。
「…あ、あぁ。なんだよいきなり」
くそオヤジが言うあの人とは、くそジジイのこと。
ジジイに聞いて俺に探りか?それとも相変わらずの反対か?
「これ以上あの娘を巻き込んではダメだ」
「は?どういう意味だよ」
「お前もうっすらわかっているんだろう?だからすぐに解散したはずだ」
なにが言いてぇんだよ
「ただの知り合いとは思ってないぞ、あの人は」
「…わかってるよ」
だから今いおとは会わないようにしてる。
「あの娘が大事なら離れないといけない」
あー、ウザイ
「うっせぇよ。それは会社のためか?テメェ自身のためか?」
「あの娘のためだ」
なんだよ
「母さんひとり守れなかった奴がうだうだうっせぇんだよ!」
俺は座っていたソファから立ち上がり、父さんの部屋を出た。
父さんがどんな表情をしていたのか…見てない。
家族をずっと蔑ろにしてた奴が今更なんなんだよ!
「坊っちゃま」
廊下を歩いていると飯田がやってきた。
「旦那様となにか…ございましたか?」
「なんでもない」
相変わらず鋭い奴。
「少しよろしいでしょうか?」
ん?
ダイニングにやってきた。
ジジイも部屋に戻ったようだ。
「こちらを」
テーブルの上に紙袋を置いた飯田。
中を覗くと御重のような入れ物があった。
その箱を取り出す。
「開けていいのか…?」
「はい」
そっと蓋を開けると、おせちだった。
見てすぐわかった。
「いお…か」
「はい。伊織様より本日お預かりいたしました。皆様で食べてほしいと。まずは暁斗坊っちゃまにお見せしたかったので」
「そっか…。ありがとな」
もう1年か…
元旦でのやり取りなどを思い出す。
黒豆をひと粒食べた。
「やっぱうまい」
支配されそうで空っぽだった心がいおのおかげで満たされていく。
「飯田、俺はなんとしてもいおを守る」
「はい」
「ほぉ〜、暁斗はこのまま優聖大に行って経験を積むと良い。必ず良い経営者になれるぞ」
「…はい。ありがとうございます」
“良い経営者”
バカらしい。
あんたにとっての“良い経営者”は駒として動く奴だろ?
なぁ、じいさん?
「和希、食事が進んどらんぞ。不味いようなら料理を変えさせよう」
「いえ大丈夫です」
あぁ、この感じ
「現会長であるお前から暁斗にしっかり経営者としての自覚を叩き込むんじゃぞ」
「はい、わかってます。父さん」
大嫌いな空間だ。
昔に戻ったみたいに
「暁斗、金澤ホールディングスの吸収は素晴らしかった」
「…いえ、とんでもないです」
支配される。
「和希も兄を見習って本腰を入れて勉強をしなさい」
「…………」
「相変わらずだなぁ、和希は」
「すみません父さん。私からきちんと言っておきますので」
あのくそオヤジですら、頭が上がらない
「和希、お祖父さんと話す時はきちんと顔を見て話せ」
「今食ってるし。食えって言ったり顔を見ろって言ったり…どっちだよ」
ヤバイ
「俺らお腹いっぱいなんで先に部屋に戻ります。ご馳走様でした」
俺は和希の手を引いてダイニングを後にした。
「暁斗!」
くそオヤジに呼び止められた。
「あとで私の部屋に来なさい」
「…あぁ」
和希と部屋に向かう。
「あーウザイ。暁兄よく我慢できるね?」
「はぁ?ウザくてたまんねぇよ。だけど…」
「だけど?」
「いや、なんでもない。お前はとにかくストレスためんな」
もう前みたいになってほしくない。
俺が守るんだ。
「俺ならもう大丈夫だよ」
「え…?」
「“前”とは違うから安心して」
そう言って和希は部屋に入っていった。
和希…
あと4時間ほどで年が明ける。
ほんとならいおと一緒にいたかった。
なのにあの2人のせいで。
俺は先に風呂に入り、それから父さんの部屋に向かった。
コンコンッ
「入るぞ」
「暁斗、ノックは3回だと教えただろ」
「仕事じゃねぇんだしいいだろ。うっせぇな」
なんでよりにもよって、2人とも家にいんだよ。
とっとと海外行けよ。
「で?なんか用?」
また新しい仕事か?
「お前…あの娘と一緒の時にあの人と会ったのか?」
意外な質問に一瞬思考が止まった。
「…あ、あぁ。なんだよいきなり」
くそオヤジが言うあの人とは、くそジジイのこと。
ジジイに聞いて俺に探りか?それとも相変わらずの反対か?
「これ以上あの娘を巻き込んではダメだ」
「は?どういう意味だよ」
「お前もうっすらわかっているんだろう?だからすぐに解散したはずだ」
なにが言いてぇんだよ
「ただの知り合いとは思ってないぞ、あの人は」
「…わかってるよ」
だから今いおとは会わないようにしてる。
「あの娘が大事なら離れないといけない」
あー、ウザイ
「うっせぇよ。それは会社のためか?テメェ自身のためか?」
「あの娘のためだ」
なんだよ
「母さんひとり守れなかった奴がうだうだうっせぇんだよ!」
俺は座っていたソファから立ち上がり、父さんの部屋を出た。
父さんがどんな表情をしていたのか…見てない。
家族をずっと蔑ろにしてた奴が今更なんなんだよ!
「坊っちゃま」
廊下を歩いていると飯田がやってきた。
「旦那様となにか…ございましたか?」
「なんでもない」
相変わらず鋭い奴。
「少しよろしいでしょうか?」
ん?
ダイニングにやってきた。
ジジイも部屋に戻ったようだ。
「こちらを」
テーブルの上に紙袋を置いた飯田。
中を覗くと御重のような入れ物があった。
その箱を取り出す。
「開けていいのか…?」
「はい」
そっと蓋を開けると、おせちだった。
見てすぐわかった。
「いお…か」
「はい。伊織様より本日お預かりいたしました。皆様で食べてほしいと。まずは暁斗坊っちゃまにお見せしたかったので」
「そっか…。ありがとな」
もう1年か…
元旦でのやり取りなどを思い出す。
黒豆をひと粒食べた。
「やっぱうまい」
支配されそうで空っぽだった心がいおのおかげで満たされていく。
「飯田、俺はなんとしてもいおを守る」
「はい」



