大嫌いな王子様 ー後編ー

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「おー…マジか」


風呂から上がると先に風呂に入っていたいおがベッドで寝ていた。


サラッ…
いおの髪に触れる。


キス以上はしないって決めてたけど、、、寝るかー!?

まぁ…いおらしいか。



いおの寝顔を見るのはいつぶりだろ。

父さんの要望に応えるのに必死で、いおとの時間を疎かにしてしまう時がある。
こんなに好きなのに。
なにしてんだ俺。


なぁ…俺の守り方はこれでいいんだよな?
母さん、教えてよ。



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あ…れ、私寝てた…?
うっすらと目を開ける。

見慣れない天井。
あったかくてふかふかな布団。
まだ寝ていたい。

ぐるんと寝返りをうつ。



んがっ!!!!!

寝起きには刺激が強過ぎる綺麗な寝顔が目の前に。


あ、暁斗くん!?


ー1分ほどお待ちくださいー



わー…私お風呂から上がって暁斗くん待ってる間に寝ちゃったんだ。。

昨夜のことを思い出し、呆然としている。


うう〜せっかく一緒に過ごせる時間だったのに〜…
私なにしてんだろう。。



暁斗くんの髪に触れる。


「えっち」


へ!?

髪に触れてた腕を掴まれた。


「おはよう」


ドクンッ!!
朝から破壊力抜群のおはようだ。

「え…いお鼻血」


うーわ、最悪な自分。



とりあえず洗面所に行って煩悩を取り払い、鼻血を止める。



手で来い来いとされ、ベッドに行く。
私の煩悩よ、絶対出てくるな!

もう、自分が煩悩の塊だと認めた。



ぎゅう

「わぁ!」

「起きてすぐいおに会えるって最高だな」

「な、なに言って…!」

一夜明けてもまだ甘々モードが続いているようだ。
抱きしめられながらポンポンッとされ、抑えているはずの煩悩がまた起きてきそう。

また鼻血出るんちゃう、私……


「いおが前言ってた通り…離れてから色々特別に感じることが増えたよ」


ドキドキ…
暁斗くんの言葉に朝からドキドキが加速していく。



「いおは違うの?」

その表情(かお)は反則だって!!
カッコ可愛いってなんですか!?


「…私もそうだよ。会いたくてたまんないんだもん」

私の髪をくしゃっとする暁斗くん。


「私の方が好きだよ、絶対」


暁斗くんの顔が近づく。



「ごめん…それは絶対ないわ」


こういうのをおはようのチューって言ったりするのかな?


「暁斗くん…おはよう」


これからも1番近くでこうして伝えたい。




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「これ、昨日寝ちゃって渡さなかったから…」

出る準備も整い、もうすぐチェックアウトの時間。
暁斗くんにクリスマスプレゼントを渡した。


「マフラー…?」

「うん。色々迷ったんだけど…暁斗くん風邪引いたりとかしないように」

「あはは。実用的な理由だな」


ガーーーンッ
もっと可愛らしい理由がよかったかな!?



「俺らって繋がってんかもな」

「え??」


暁斗くんから渡されたプレゼント。


「あ…」

包みを開けるとマフラーだった。


「いおが風邪ひかないように」


胸がぎゅーってなる。


「ありがとう!すごく嬉しい!!なんかマフラーにネックレスで、首元たくさん守られてる気がしちゃう」


暁斗くんが私に近づく。



ぢゅっ

「あっ…!」

いきなり首にキスをされた。
そして鈍い痛みが走る。

「あんまり可愛いこというから、もうひとつお守り増やしといた」

そう言ってこっちを見る暁斗くんもかっこよくて見惚れてしまう。


「…バカ。この前のもまだ残ってるもん……」


目の前の王子様には、どう足掻いても敵わない。

幸せ過ぎてほんとに怖くなる。
この幸せを守らないといけない。





ホテルをチェックアウトして出口に向かう。

「いお、今日は仕事休みだろ?俺も休みだから朝飯食って…」
「暁斗?」


誰かの暁斗くんの名前を呼ぶ声が聞こえた。
そして暁斗くんがその声の方に振り向く。



「じいさん…」

え…??


「やっぱり暁斗じゃないか。大きくなったなぁ」


黒のスーツを着た人が5人、そのお爺さんのそばにいる。

そのお爺さんのことを暁斗くんは“じいさん”と呼んだ。