大嫌いな王子様 ー後編ー

もう色々と覚悟はできてる。
ドンとこいだ。


「…なんで俺がお前をフるの?」

なんか少しポカンとしているように見える暁斗くん。



「だって全然連絡くれないし…というか無視だし。それって嫌いになったってことだよね…?」


「あー…」

暁斗くんは自分の頭を掻きながら、なにかを言いたそうにしている。



「俺にとっての“守り方”はこれしかわかんねぇんだよ」


え…?


「親父から守りたい、いおが笑って生きていけるようにしたい…だけどさ」


暁斗くん…?


「そばにいないと守れねぇのに…今はそれすら出来てない。。俺は…どうしたいんだろうな」


「なに言って…」


「なぁいお。和希の方が素直で純粋でまっすぐお前を見てるよ」


なにが言いたいの?


「俺には出来ないことをアイツは出来るから…。だから、、もうアイツを選んで大丈夫だぜ」


「へ…??」

わからない。
なんでこんなことを言うの?



「俺、あの日いおと和希が一緒にいるとこ見たから」


ドクンッ!!
やっぱり…!!

ちゃんと私の気持ち、言わなきゃ!!


「連絡しなくてごめん。でも、あの時の俺じゃ…返事できなかった」


「暁斗くん、私はね…!」


「信じらんねぇぐらいパニックになった。いおが俺のそばから離れるんじゃないかって。どうしようって。こんな…ダサイ俺見せたくなかった」


さっきまでの私の不安がなくなっていく。
暁斗くんはすごく恥ずかしそうに、そして悲しそうに話してるのに

私はーー……


「でもさ、それと同時に…そばから離れらんねぇようにどっかに閉じ込めてやろうかって思ってしまうんだよ。他の奴なんか見れねぇように」


嬉しくなってしまっている。



グイッ
手首を掴まれた。


「俺のことだけしか考えらんねぇように、めちゃくちゃにしたいって思ってんだよ」



ドキンッ!!!
鼓動が速すぎて息がしづらくなる。



「こんな状態でいおと連絡取れなかった…な?ダサくて最低だろ?大切にしたいのに…出来ねぇんだよ」



ぎゅう!!!!

私は暁斗くんの手を振り解いてめいいっぱいの力で抱きしめた。



「いお…??」

「バカバカ暁斗くん!!ダサくないし最低じゃないもん!!」

また涙が出てくる。



「私が最低だもん!!暁斗くんの気持ちも考えずに自分が嫌われちゃうばっかり思っちゃって…!」

ほんと、自分の自己中ぶりに呆れる。



「あの日和希くんにまた告白されたけど、私は暁斗くんが好きだから!ちゃんと伝えたよ!これからもずっと変わらない」


暁斗くんは強くてかっこいい。
それは、ケンカというかそういう面もだけど中身もすごく強い。

だけど実は弱くてヤキモチ妬きで、独占欲が強い人でもある。


私はそんな暁斗くんが大好きなんだ。



「連絡取れなくて…病気かなって心配にもなったよ!バカ!」

「悪かったって…」


「なによりも…嫌われたんじゃって思ったんだから!!」


すごく不安だったんだから


「私だってさっきカッコつけたよ。ほんとは…嫌いにならないで!離れないでって言いたかったんだか…!」


暁斗くんのキスによって口を塞がれて、やっと自分の言葉が止まった。



「いおは俺が好きでたまんないってことね?」


あれ??
この様子は…


「そんなに言うならそばにいてやるよ」


出ました!!
俺様暁斗くん!!


危なかった…
この2ページほど、俺様野郎なのを忘れてしまうところだった。


「あはは!!いつもの暁斗くんだ!!」


暁斗くんが私のほっぺに触れる。


「わりぃけど…これがラストチャンスだぞ?もう二度と離れられねぇからな?」


「のぞむところです!!」


「バーカ」



ちゅっちゅっ

「ちょ…暁斗くん、もうやめ…」

「無理。ほかの虫が寄ってこねぇようにしてやる」


気づけば、首や鎖骨にいくつかのキスマークが。




「ほんとはこのままお前を食べたいけど…それはまだ我慢してやるよ」



ボボボボボボッ!!!!
一気に顔が沸点を超えて熱くなる。


なんだなんだ!?
俺様にエッチさが加わってきたぞ!!
変なコンボしてきたぞ!!!



「ヤキモチ妬きのくせに…」

ぼそっと呟くと顔をグイッとされて暁斗くんの方を向かされる。



「そんな俺も大好きなんだろ?」


色んな自分を認めた暁斗くんは最強過ぎて、私はもう色々ともたなくなってしまうのかもしれない。



「つーか、早く帰って風呂入れ。風邪引いたら明日も明後日も無しだぞ」


へ??

「…会ってくれるの?」

「は?当たり前だろ」

「私…バイトあるんだけど」



あ、なんか空気が凍った気がする。