終業式。
「はぁ!?あれから御曹司くんと連絡取ってない!?」
「うん…」
正確に言うとメッセージを送っても返事がない。
電話しても出ず、折り返しもない。
「弟くんに告られた日だよね?御曹司くん、見てたんじゃない?」
「いやまさか…」
でも、あり得る。
「それか仕事忙し過ぎるとか体調崩してるとかない?」
「それも思ったの!心配で!ただ…」
「ただ?」
「…もしなにか理由があって暁斗くんが私を避けてるんだとしたら…その理由を知るのが怖くて」
私、フラれちゃうのかな…
もし和希くんのとのことを見られてたら、嫌な気持ちにさせちゃったかもだもんね。
「なに泣きそうになってんの。あの御曹司くんならこんな別れ方とかしないって。絶対理由があるよ」
「うん…」
ダメだ、、いつものようにポジティブに考えられない。
「今日絶対会いなよ?このままは絶対よくないから」
そうだよね。しかも明日はイヴだし。
結局なんも約束も出来てない。
「ありがとうみっちゃん!悩んでても仕方ないよね!」
「そう!その方が伊織らしいよ」
私は佐伯くんに連絡をした。
ーーーーーーーーーーー
ヴーッ
お、伊織からメッセージだ。
今日終業式かって?
そうだけど…
すぐに返事がきた。
『何時に学校終わる?』
ここ数日機嫌が悪い皆実。
ふーん、そういうこと。
ーーーーーーーーーーー
「え″っ!!!!」
「なに!?」
「優聖も終業式で、もう学校終わるみたいなの!」
どうしよう…!!
暁斗くん、先に帰っちゃう。
「早く行きなよ!安田には私から言っておくから!」
みっちゃん…
「うん!ありがとう!!行ってくるね!!」
お腹が痛いということで終業式を早退するという、人生初のことをしでかした私。
「ハァハァ…」
これでもかってぐらい、全速力で走る。
でもね、それぐらい必死なんだもん。
会いたいんだもん。
声を聞きたいんだもん。
「佐伯マジウザイ。帰らせろって」
「まぁまぁ、あと5分ぐらい付き合ってよ」
「意味わかんねぇよ」
「暁斗くん!!!!」
好きなんだもん。
「いお…」
門の所で佐伯くんが足止めしてくれていたみたい。
「んじゃ帰るわーまたな」
「佐伯くん!!あの…ありがとう!!」
ひそっ
「素直にならねぇと俺が皆実もらっちゃうよ♡」
佐伯くんは意地悪な笑顔でそう言って帰っていった。
ほんとにありがとう、佐伯くん。
「やっと会えた…」
ポタ、、ポタ、、、
真冬だというのに、汗が止まらない。
そんな私を見て周りの優聖の生徒たちは引いている様子。
でも、そんなの今はどうでもいい。
「…汗だくじゃねぇか。走ってきたのか?」
やっと喋ったと思ったらそれ!?
連絡もずっと無視してたくせに!
「そうだけど、今はそんなことどうでもよくて…ひゃっ!!」
いきなり腕を引っ張られた。
「ちょっと来い」
暁斗くんに連れてこられたのは生徒会室。
「ここなら誰も来ねぇから」
ハンカチを渡された。
「絶対風邪引く。ここで少し休んで汗が引いたら帰れよ。んですぐ風呂入れ」
は…い……?
「じゃあ俺はー…」
「なに言ってんの!!??」
もしかして
「帰ろうとしてる!?」
意味わかんない
わぁ…ほんとに意味わかんないよ
「私がどんな気持ちでここに来たと思ってんの!?」
ちがう
ほんとはこんなことを言いたいんじゃなくて
「暁斗くん、意味わかんないよ!!」
なにかあったのなら聞きたくて
もしその“なにか”の原因が私なら…聞くのすごく怖いけど今ならちゃんと聞けるから謝りたい
「暁斗くん、いつもひとりで抱えてばっかり……」
「いお……」
「私は暁斗くんの彼女だよね…?それとも…」
我慢していた涙が溢れてこぼれてしまった。
「嫌いになっちゃった…?」
我ながら文脈というか内容というか…めちゃくちゃなのはわかってる。
結局自分の不安をぶつけてるだけなのもわかってる。
私、絶対鬱陶しいよね。
ガタッ!!
「んー…!!!」
いきなりキスをされた。
「ふ…ん……!!」
しかも深いキス。
久しぶりのキスでさらに頭がボーッとしてしまう。
カリッ
「ひゃっ!」
暁斗くんが私の耳を噛んだ。
「いお」
耳元でそう囁く声にドキッとしてしまう。
ぢゅっ
次は首筋に鈍い痛み。
暁斗くんのキスがだんだん下におりていく。
「や…待って」
暁斗くんが私の制服のセーターを捲り上げて、腰から中に手を入れた。
「ひゃあ!!」
直に胸に触られた。
ドキドキがすご過ぎてヤバイ。
だけどそれ以上に
コワイ。
初めてのことだからっていうのもあるけど…
そうじゃなくて
「あき…とくん…お願い…」
ぼろぼろ…
身体が震える。
涙が止まらない。
いつもの暁斗くんじゃないようで
なんだかコワイ。
バサッ
コートをかけられた。
「ごめん…!!怖かったよな。ほんとにごめん」
あ、、、いつもの暁斗くんに戻った気がした。
きゅっ
私は暁斗くんの手を握った。
「暁斗くん、私…フラれる覚悟出来てるのでちゃんと話してください」
・・・・
「は……??」



