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「和希くん!?それに晴!なにしてんの?」
「学校帰りに和希兄ちゃんと会って、お姉ちゃんに会いに来たよ!」
「そうなの?和希くんに遊んでもらってたんだね」
伊織がこっちを見る。
「和希くん、たくさん晴の相手してくれてほんとにありがとう!!」
そんな可愛い笑顔はズルいよ。
諦められなくなっちゃう。
フラれてるのに諦め悪いなぁ。
「伊織がバイト終わるまで待ってるよ」
「え!?まだあと3時間ぐらいあるからダメだよ!」
「ううん、待つ」
グイーッ
伊織に無理矢理外に追い出された。
「ダーメ!」
ぼそっ
「…暁兄だったらいいの?」
「え?今なんて…?」
ハッ!!俺、今なんて言った!?
「なんでもないから。晴、帰るぞ」
あーあ、片想いって結構辛いんだなぁ。
手が届きそうで全然届かないんだもん。
それから2日後。
学校帰りにまた晴を見かけた。
ん?
すげー暗い?
…ってか泣いてる!?
「晴!どうした!?なんかあった!?」
「和希兄ちゃん…」
また、前に来た広場にやってきた。
「んで?チヒロちゃんがやっぱりアキラを好きだったんだ?」
「う…うぐ。。うん。今日お友達とそんなお話ししてるの聞こえたから」
泣くぐらい好きだったんか。
ポンポンッ
晴の頭を撫でた。
「なぁ晴。泣くぐらい人を好きになるってすげーなって思うよ。それぐらい好きなら振り向かせれるように頑張れるって」
「…そうかな?」
「努力は無駄になんないし…お互い頑張ってみようよ」
「和希兄ちゃんも??」
「そ。俺も晴見習って頑張ってみようかな」
「じゃあぼくも頑張る!!ねぇ、和希兄ちゃんの好きな人ってどんな人なの??」
どんな人かぁ。
「好きなとこがあり過ぎるんだけど、俺を暗闇から引っ張り出してくれた人」
「暗闇??真っ暗な所にいたの??トンネルとか??」
「あはは!まぁそんな感じ」
「そっか!すごい人だね!神様みたいな人だね!」
あー、マジ子どもって純粋。
まぁ俺もまだまだ子どもだけど。
「そうだね。神様みたいな人を好きになっちゃった」
「和希兄ちゃん、一緒に頑張ろうね」
「あぁ。約束な♪」
次の日の朝。
「和希くん!これよかったら食べて」
「ん?クッキー??」
「うん!晴のこととか色々お礼で…昨日の夜帰ってから作ったの」
やばー。
嬉しい。
「ありがとう!嬉しいし勿体ないから飾るね!」
「なんでやねん!腐るわ!」
「伊織なんで関西弁〜」
こんなことされたら諦められないよね。
大好きなひと。
幸せになってほしいけど、それは俺がしたいことで。
暁兄との幸せは…今の俺は願えるほど大人になれないよ。
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ガチャッ
「今いい?」
「なに?てかノックしろって」
「話しあるんだけど」
「…どうせロクな話しじゃねぇんだろ」
さすが暁兄。
「うん。俺はやっぱり伊織が好きだから」
「…あっそ」
「暁兄が油断したり…もし伊織を前みたいに泣かせたりしたら俺ほっとかないから」
「…うるせぇ。そんなこと出来ねぇから諦めろ」
「そんなのわかんないじゃん。じゃーね」
俺は暁兄の部屋を後にした。
晴には早い者勝ちって言いながら……
でも、そんな簡単に諦めれるほどの気持ちじゃないってわかったから
ギリギリまで足掻いてやる。



