「1週間お世話になります」
「ぼく、あきお兄ちゃんのお家初めて来たー!」
「晴!ちゃんと頭下げて!」
土曜日のお昼。
今日からお母さんが1週間検査入院をすることになった。
暁斗くんにそのことを話すと、その間泊まりに来させてもらえることになった。
「暁斗くん…甘えてごめんね」
「なにが?俺から提案したんだからなんも甘えてないだろ」
暁斗くんらしい言い方。
正直…久しぶりにここに泊まれることになって嬉しい。。
今は…なにか理由がないとここに来れない気がしてるから。
まさか泊まれるなんて。
「おー、お前が晴か」
「お兄ちゃんだあれ?」
「この人はね、暁斗くんの弟の和希くんだよ」
グイッ
「わっ!」
和希くんに肩を抱かれてバランスを崩す。
「そ♪そしてお姉ちゃんの彼氏だよ」
「え?彼氏ってあきお兄ちゃんじゃないの?」
ドンッ
和希くんは暁斗くんに突き飛ばされた。
「そうだ、俺だ。アイツは放っとけ」
相変わらずな和希くん。
前私が住ませてもらっていたお部屋に晴とふたりで泊まらせてもらうことにした。
「晴にも部屋あんのに」
「ううん、ありがとう。晴も一緒の方が安心すると思うから」
「ぼくおうちの中探検するねー!」
「こら!ウロウロしたら邪魔になるから!」
広い家に興奮状態の晴。
「じゃあ俺が案内してあげるよー」
「あっ和希兄ちゃんだ!やったー!!案内してー!」
和希くんが部屋にやってきた。
「和希くん、いいの!?」
「うん任せて〜」
ありがとう、和希くん。
「いおも少しゆっくりしろよ」
「うん、ありがとう。泊まらせてもらえるおかげで安心してバイトにも行けるよ」
お母さんがいない間(特に夜)、小学3年生の晴をひとりには出来ないからすごく悩んでたからほんとに助かった。
「おばさん…体調大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ。数値がちょっとひっかかる所があったから詳しく検査してみるだけって言ってたから」
「そうか。そばにいれる限りいてやれよ」
暁斗くんの言葉がとてもドシンッと身体に感じた。
お母さん…咲さんのことを考えてるのかな。
「うん、わかったよ」
ご飯も用意してもらい私は安心してアルバイトに行けて、もう至れり尽くせりの日々。
この土日でわかったことがある。
暁斗くんはもちろんだけど、和希くんがすごく面倒見が良くて晴の相手をたくさんしてくれる。
週明けの朝、朝ご飯は以前のように作らせてもらった。
「お!伊織の朝ご飯久々で嬉しいー!」
「和希くん、晴の面倒たくさん見てくれてほんとにありがとうね」
「俺も楽しいし♪なんか弟出来たみたいで嬉しいかな」
皆実家のみんなはやっぱりすごく優しい。
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「そう、たくさんお世話になってばかりで申し訳ないわ」
「お母さんはなにも気にしなくて大丈夫だから安静にしてね」
アルバイト前にお見舞いに来た。
今の所、検査に異常はないみたいだけどまだ安心は出来ない。
「明日も来るね」
「無理しなくていいからね」
病室にお母さんの好きなお菓子があった。
…お父さんが来たんだ。
なんだろう、この嬉しい気持ちは。
早くお母さんたち、仲直りすればいいのにって思ってしまってる自分がいる。



