ラスボス感満載の暁おと。
「失礼いたします」
「ビルの入り口をよく通れたな」
「飯田さんのおかげで」
相変わらず嫌味な人だな。
「なんのご用でしょうか?」
こんな奴にひるまないんだから。
「まぁ座りたまえ」
広いお部屋。
一際綺麗なお花が飾られていた。
真っ白なお花。
そのそばには女の人の写真も。
すごく綺麗な人だな…。
「…おい、聞いているのか?」
「ふぇっ!?あ!すみません」
写真に夢中で聞いてなかった。
暁おとが写真の方を見る。
「妻の咲(さき)だ」
暁斗くんたちのお母さん…!
「綺麗な人ですね」
「もう知ってるだろうが咲は5年前に亡くなってね」
「…はい」
「この花は咲の好きな花でね」
そう話す暁おとの表情が、見たこともないぐらい優しく穏やかで
私なんかがこんなことを思うのはおこがましいかもしれないけど
暁おとは咲さんのことが大好きなんだなって感じた。
「…すまない、話が逸れた。新しい環境はどうだ?」
「特になにも変わりません」
「暁斗とは?」
「もちろんなにも変わりません」
強気…強気を忘れない!
「ふ…なにも変わらないか」
え…暁おとが笑った。
嫌味な笑顔じゃなくて、さっき咲さんの写真を見ていた時のような暖かな笑顔。
その笑顔に私の強気な気持ちが揺らぐ。
暁おとって実は…
「これを渡そう」
暁おとのその言葉のあと、部屋にいた秘書?らしき人が黒いバッグを持ってきて机の上で開いた。
「1,000万ある。持って帰るといい」
……は??
「手切れ金だ。まぁ今まで暁斗たちも多少は世話になったかもしれないからその礼も兼ねている」
やっぱりこの人は最低だ。
「もうアルバイトに勤しむこともないんだぞ?きみの父親に関しても調べはついている。よければ、もっと稼げる働き口を私が紹介してやってもかまわない」
「もう皆実家には関わるな」
手が震える。
足が震える。
泣いちゃダメ。
「…こんなことでわざわざ呼んだんですか?」
「こんなこと?大事な話だ」
私は立ち上がった。
「バカにしないでください!こんなのいりません!新しい働き口だっていりません!」
悔しい!!
「私は暁斗くんが好きで一緒にいたいって思ってるんです!!お金なんてどうでもいいんです!!」
こんなことされたら
「暁斗くんのことだって…バカにしないでよ!!」
暁斗くんのこともバカにされてるようで腹が立つ。
どれだけ私のためにたくさんのことをしてくれてるか
「こんなことで終わらせれるような関係じゃないんだから!!」
我慢してたのに
絶対目の前で泣きたくなんかなかったのに
涙が止まらない。
少しの沈黙が続く。
その間に少しずつ冷静になっていく私の思考回路。
・・・
やってしまった。
「申し訳ありません…失礼します」
もうなんかよくわからないから、とりあえず帰ろう。
「きみは…なにもわかってない」
「え?」
やっと暁おとが口を開いた。
「“皆実家”をわかってないんだ」
「どういう意味…ですか?」
暁おとが立ち上がって私に近づく。
「きみを見ていると…咲を思い出すよ」
「えっと…それは……」
「咲はきみとは比べものにはならないぐらい綺麗だったがね」
ズコッ!!!
「わかってますよ!!!」
なんなんだ、この人は。
「ははは。すまない」
あ、また笑った。
変なの。
今日は今まで見たことない暁おとがたくさん見えて、頭が少しパニックになる。
「血は…抗えないのかもしれないな」
また訳わかんないことを言う。
「今日はもう帰りなさい」
私はドアを開ける直前、暁おとの方に振り向いた。
「私…暁お…お父さんにどう思われても暁斗くんと別れるつもりはありません。なんにでも立ち向かいます」
ペコリと一礼をして部屋をあとにした。
「飯田に家まで送らせろ」
「承知いたしました」
秘書が部屋を出て飯田の元へ向かった。
カタッー…
咲の写真立てを持つ。
「なぁ咲、私は間違っているのか?あんな思いをあの子たちにはさせたくないんだ」
「咲、きみならどうする?」
「失礼いたします」
「ビルの入り口をよく通れたな」
「飯田さんのおかげで」
相変わらず嫌味な人だな。
「なんのご用でしょうか?」
こんな奴にひるまないんだから。
「まぁ座りたまえ」
広いお部屋。
一際綺麗なお花が飾られていた。
真っ白なお花。
そのそばには女の人の写真も。
すごく綺麗な人だな…。
「…おい、聞いているのか?」
「ふぇっ!?あ!すみません」
写真に夢中で聞いてなかった。
暁おとが写真の方を見る。
「妻の咲(さき)だ」
暁斗くんたちのお母さん…!
「綺麗な人ですね」
「もう知ってるだろうが咲は5年前に亡くなってね」
「…はい」
「この花は咲の好きな花でね」
そう話す暁おとの表情が、見たこともないぐらい優しく穏やかで
私なんかがこんなことを思うのはおこがましいかもしれないけど
暁おとは咲さんのことが大好きなんだなって感じた。
「…すまない、話が逸れた。新しい環境はどうだ?」
「特になにも変わりません」
「暁斗とは?」
「もちろんなにも変わりません」
強気…強気を忘れない!
「ふ…なにも変わらないか」
え…暁おとが笑った。
嫌味な笑顔じゃなくて、さっき咲さんの写真を見ていた時のような暖かな笑顔。
その笑顔に私の強気な気持ちが揺らぐ。
暁おとって実は…
「これを渡そう」
暁おとのその言葉のあと、部屋にいた秘書?らしき人が黒いバッグを持ってきて机の上で開いた。
「1,000万ある。持って帰るといい」
……は??
「手切れ金だ。まぁ今まで暁斗たちも多少は世話になったかもしれないからその礼も兼ねている」
やっぱりこの人は最低だ。
「もうアルバイトに勤しむこともないんだぞ?きみの父親に関しても調べはついている。よければ、もっと稼げる働き口を私が紹介してやってもかまわない」
「もう皆実家には関わるな」
手が震える。
足が震える。
泣いちゃダメ。
「…こんなことでわざわざ呼んだんですか?」
「こんなこと?大事な話だ」
私は立ち上がった。
「バカにしないでください!こんなのいりません!新しい働き口だっていりません!」
悔しい!!
「私は暁斗くんが好きで一緒にいたいって思ってるんです!!お金なんてどうでもいいんです!!」
こんなことされたら
「暁斗くんのことだって…バカにしないでよ!!」
暁斗くんのこともバカにされてるようで腹が立つ。
どれだけ私のためにたくさんのことをしてくれてるか
「こんなことで終わらせれるような関係じゃないんだから!!」
我慢してたのに
絶対目の前で泣きたくなんかなかったのに
涙が止まらない。
少しの沈黙が続く。
その間に少しずつ冷静になっていく私の思考回路。
・・・
やってしまった。
「申し訳ありません…失礼します」
もうなんかよくわからないから、とりあえず帰ろう。
「きみは…なにもわかってない」
「え?」
やっと暁おとが口を開いた。
「“皆実家”をわかってないんだ」
「どういう意味…ですか?」
暁おとが立ち上がって私に近づく。
「きみを見ていると…咲を思い出すよ」
「えっと…それは……」
「咲はきみとは比べものにはならないぐらい綺麗だったがね」
ズコッ!!!
「わかってますよ!!!」
なんなんだ、この人は。
「ははは。すまない」
あ、また笑った。
変なの。
今日は今まで見たことない暁おとがたくさん見えて、頭が少しパニックになる。
「血は…抗えないのかもしれないな」
また訳わかんないことを言う。
「今日はもう帰りなさい」
私はドアを開ける直前、暁おとの方に振り向いた。
「私…暁お…お父さんにどう思われても暁斗くんと別れるつもりはありません。なんにでも立ち向かいます」
ペコリと一礼をして部屋をあとにした。
「飯田に家まで送らせろ」
「承知いたしました」
秘書が部屋を出て飯田の元へ向かった。
カタッー…
咲の写真立てを持つ。
「なぁ咲、私は間違っているのか?あんな思いをあの子たちにはさせたくないんだ」
「咲、きみならどうする?」



