すごい。。
外にこんな大きな舞台を作るなんて…
私たちの出番は次。
やば、、緊張してきた。
こんな人がたくさんの所に出る機会とか…学校の音楽会ぐらいだし。
「私、外で見るね!」
「うん!またあとでね」
みっちゃんは客席に向かった。
「なぁ伊織。巻き込んでごめんね」
和希くん。
「嫌なら今からでも嫌って言っていいから。俺、色々巻き込んでばっかだな」
私は和希くんの手を握った。
「正直すごく緊張してヤバイけど…髪カットしてもらったのとかいつ振りってぐらいですごく嬉しかったし、こんなオシャレにしてもらえてワクワクもしてるの!」
嘘じゃない。
すごく嬉しいから。
「和希くんのおかげだよ!ありがとう!」
「……伊織、俺…」
「皆実、出番だ!頼むぞ!!」
和希くんがなにか言いかけた時、立花くんに呼ばれた。
「伊織!今だけ俺の彼女な!」
舞台に出る直前になんということを!?
「…ほんとは嫌だけど……」
「うるさい、バーカ」
そう言って笑いながら私の手を握って一緒に舞台へ出る。
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いおのやつ、全然電話に出ねぇ。
なんかあったか?
…楽しんでるだけならいいけど。。
「皆実!外でお前の弟がなんか出るらしいぞ!しかも、彼女と出るって噂なってる!」
佐伯がどっかで聞きつけたらしい。
「和希が彼女…?」
意味が全然わからないけど、なんかすげー嫌な予感がする。
「佐伯、そこ連れて行け」
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拍手の中、舞台に立つ。
緊張で足が震える。
「皆実くん、隣の子ってやっぱり彼女!?」
「やだー!やめてー!」
和希くんファンらしき子たちの声がすごい。
みなさん大丈夫ですよ。
私は彼女ではありません。
ただの“フリ”ですよ。
まず立花くんが、どんなイメージでカットをしたか、セットをしたかなどを説明している。
その間、私たちは手を繋いだまま。
離そうとしたらぎゅっとさらに強く握られた。
もし…私に質問きたらどうしよう…
っていうか…この状況暁斗くんが見てたらどうしよう。
なにも説明出来てない。
あとで説明したら大丈夫かな。
やっぱり先に話したかったな。
暁斗くん…今なにしてるかな。
まだ執事かな。(ちゃんとやれてるのか不安)
会いたいよ。
「では!皆実くんと彼女さんにも色々質問していこうかなー」
司会者の声でハッと我にかえる。
え!私に質問!?
うまく答えられるかな…
「すみません、俺がメインで喋ってもいいですか?なんか喋りたい気分なんで」
「なんだよ喋りたい気分って!」
和希くんの言葉に会場がドッと笑う。
…私が喋らなくてもいいようにしてくれたのかな?
カットモデルを引き受けた経緯や立花くんとの関係など色々聞かれてるけど、全部うまく答えてる。
すごいなぁ。
「じゃあ、このリンクコーデで彼女さんとどこにデートしたいですか!?」
!?
なんちゅー質問を。。
「そうですねー、伊織とならどこでも嬉しいからマジどこでもいいんですけど…動物園とか行きたいっすね」
「なるほどー。では最後の質問!彼女さんの大好きな所を教えてください!」
はぁぁあ!!??
だからさっきからなんちゅー質問を!!??
客席からも、女子の悲鳴みたいなものが聞こえる。
ひそっ
「和希くん、答えなくていいからね」
和希くんは私の方を見てニコッと笑った。
え、その笑顔なに……
「頑張り屋さんなとこ。料理がすごく上手なとこ。意外と強気なとこ。だけど泣き虫なとこ。純粋なとこ。可愛いとこ。んー、まだ結構あるんですけど、時間あります?」
和希くん…なにをこんなにスラスラと……
コンテストのための口からでまかせとわかっていても、少し嬉しくなってしまう自分がいる。
ぎゃーーーっと、客席からまた悲鳴みたいな声が。
「皆実くん、彼女さんラブですねー!ファンがショックを受けているようです!」
なんとか司会者がまとめてくれて、私たちは舞台袖に戻った。



