「あれ…執事じゃないね」
「そんなこと言いながらちゃっかり写真撮ってたじゃん」
そう。
ムカつくキモ野郎だけど、やっぱりかっこよくて隠し撮りを何枚かしてしまった。
「みっちゃんもいる?」
「いらない」
食い気味に断られた。
それからみっちゃんと色々お店を回って、食べ歩きをしたりお化け屋敷に入ったり…
お金持ち学校だからどんな学祭かなって不安もあったけど、すごく楽しい。
「ごめんちょっとトイレ行ってくるね」
「ごゆっくり〜」
みっちゃんがお手洗いに行っている間、周りをボーッと見ていると全速力で走ってる和希くんを発見。
「和希くん!なにしてんの!?」
「逃げてんの」
逃げる!?
「なにから!?」
「今とりあえず逃げなヤバイからまたあとで…「つっかまーえたー!」
後ろから走ってきた男子2人に捕まった和希くん。
私のせい…だよね?
すみません。
「俺は出ないって言ってるだろ!」
「いや出ろ!これは先輩命令だ!」
「意味わかんねぇよ」
どうやらなにかに出ないといけないらしい。
「お姉さん…皆実の知り合い?」
「あ、まぁ……」
男子2人は向き合ってなにかを決めたのか、お互い頷いた。
「よし、わかった!お姉さんにも参加してもらおう!」
はい!?
「は!?伊織は関係ないから!ってか、俺出ないって」
「ちょ、ちょっと…!」
私も和希くんもズルズル引きずられてどこかの教室に連れてこられた。
「…なにやってんの、あんた」
「私もわかんないよ。急に連れて来られて」
とにかく急いでみっちゃんにメッセージを送って、連れてこられた教室まで来てもらった。
「カットモデル頼んでた子が2人風邪で無理になったんだよー!皆実、マジで助けてくれよー!」
「だからなんで俺なんだよ」
「人気あるお前なら優勝出来るかもしんねぇじゃん」
「知るか」
どうやら2人のうち1人は、高1で将来美容師を目指しているみたいで1時間半後にあるコンテストに出るらしい。
でもカットモデルが2人も無理になり、かなり困っている様子。
「和希くん…この人たち困ってるし…」
「知るか。俺は関係ない」
あぁ、頑固だなぁ。
「じゃあ…お姉さんカットモデルしてくれる?」
え!私!?
「いや、その…私なんかがしても何の役にも立たないと…」
「俺が変える!!頼みます!!」
両手を握られ、こんなにお願いされると…
「私でよければ…」
「あーあ」(みっちゃん)
「伊織!断れって!」(和希)
私がやることになったから、和希くんも渋々カットモデルをすることになった。
「ふたりいります?」
「カップルの設定でヘアセットや服とかさせてもらっていい?その方が審査員に絶対印象に残るから!」
カップル!?
「てか、そもそもきみたち付き合ってた!?デートの邪魔してごめんねー」
「いや、付き合ってな…「仕方ないからそれで引き受けるわ」
はぁ!?
「なに言ってんの!?」
「伊織がそもそも引き受けたんだから。責任持ってよ」
うーわ、むっちゃズルい言い方するやん。
結局、まさかのカップル設定で引き受けることになってしまった。



