大嫌いな王子様 ー後編ー


「いお、おまえも無事大学決まったんだし今日は午後から俺に付き合え」

「はい!?私バイトあるんだけど」


そう、なんとか無事第一志望の大学に受かった。


「だからこの時間に迎えに来たんだよ。練習するぞ」

そう言って私の腕を引っ張った。


「私出るなんて言ってない!!2年ぶりだし何も覚えてないよ!!」

「だから練習すんだろ」

「てか!!授業まだあるから!!」

私の意見なんてお構いなしに腕を引っ張って歩いていく。


「みっちゃん、あと頼むわ」

「はいはい。頑張って〜」

「みっちゃーーん!!!」


半強制的に教室から出されて門まで連れて行かれる。



「暁斗くんのバカバカ!!」

やっと腕を振り払えた。

「あ?誰に向かって言ってんだ?」

「高校生活もあと少しだから、学校でちゃんと過ごしたいもん…」

みっちゃんとも別の大学になる。


でも…


「全然会えなくて、やっと会えたと思ったらこんな感じだし」


私だけなんだ、会えて嬉しいのは。

ヨリを戻せたけど、あれからまた暁斗くんは忙しくて私もバイトあったりで全然会えてなかった。


いきなりで、しかも私の学校でだけど会えたのはやっぱりすごく嬉しかった。

だけど、暁斗くんはダンスパーティーの練習のために私を迎えに来てくれただけなんだ。


いや……ほんとはそれだけでもすごくすごく嬉しいんだけど・・・

なんだろ、この気持ち。
私、ワガママになってる。


「こんな感じってどういう意味?」

暁斗くんの言葉で我にかえる。


「あ…ごめんね!なにもないの!!変なこと言ってごめんね!!」


やだやだ、こんなワガママな気持ち。


グイッ

俯いていたら、顎クイをされた。


!!!!!


次の瞬間、暁斗くんの顔が近づいてきて
キスをされた。


数秒して、ゆっくりと離れる唇。


「俺が我慢してるの気づけ」


その言葉に心臓がさらにドキドキを増す。



「「「ギャーーーーーーーッ!!!!」」」

女子の叫び声が聞こえた。

振り向くと、校舎の窓からこっちを見ている結構な人数の女子たち。


ギエーーーーーーーッ!!!

クラスメイトたちにも見られた!!??


「暁斗くん!!行くよ!!!」

恥ずかし過ぎて、今度は私が暁斗くんの腕を引っ張り門まで走る。


「いお、顔赤い」

「暁斗くんのせいだもん!バカバカ!!」

「また言ったな。キスすんぞ」

「もう、バカなこと言ってないでー…」


振り向き様にまたキス。

そして、また響く女子たちの黄色い声。



「〜〜〜!!暁斗くんっ!!!」

なぜか満面の笑みの暁斗くん。
私は絶対顔真っ赤。

明日みんなになに言われるやら。。。


逃げるように車に乗り込む私。


「伊織様、学校お疲れ様でした。皆様楽しそうですね」

「…飯田さんの意地悪。。。」

飯田さんも笑ってる。



「じゃあ、今からおまえのバイトまで俺ん家で練習するぞ」

「私まだ出るって言ってないけど!?」

「出る以外選ぶ権利ねぇよ」


こ、わーーーー
俺様全開ですね。



「去年なかったから、もうないと思ってたのに」

「ウチの学校、高1と高3が出る仕組みなんだよ。高3は受験もあるから希望者だけだけどな」


ん??
ってことは、暁斗くん希望したってこと!?


「なんだ?キモイ顔でこっち見んな」

安定のキモ野郎発言

このキモ野郎がダンスパーティーの参加を希望するなんて、摩訶不思議としか言えない。



「おい、そのキモイ顔今すぐなんとかしろ」

「生まれつきなんですみませんね〜」


まだまだこのキモ野郎を理解するのは、前途多難だな。



「おふたりとも、仲がよろしいですね」

「「どこが!?」」


飯田さんの言葉にハモッてしまった。


プイッとお互い窓の方を見る。



でも、手は繋いだままで。


ダンスパーティー
きっと一緒に頑張れるイベントでラストだろうし、、、頑張ろう。